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フェル 森で偶然助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと暮らしていく話  作者: カトウ


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報告書

 97 報告書


 ゼランドさんと契約を交わし、ガンツと店を出た。

 ゼランドさんは最後までこの契約を結ぶのを嫌がったけど、最終的にガンツが説得してくれた。


 契約は、今後、僕の思いつきで商品化できそうなものがあった場合、その商品を無料でもらえて、さらにその商品を追加で買う場合は、原価で販売してもらえるという内容になった。


 そのあと植物油を卸値で譲ってもらい、それをもらって店を出た。

 ガンツと別れてギルドに向かう。

 フェルたちそろそろ帰って来たかな?


 ギルドは依頼達成を報告する人たちでごった返している。

 人混みの中、フェルの姿を探したけど見つからなかったので、お茶でも飲んで待とうかと食堂に行くと、食堂も混んでいてとても座れそうにない。

 ならば受付に伝言を頼んで弓の練習でもしようかと、列に並ぼうとした所で声をかけられた。


「ケイ?どうした?お前もなんか依頼受けたのか?お前今日休みじゃなかったっけ」


 声の方を見るとオイゲンさんだった。

 フェルがまだいないから受付に伝言して、訓練場に行こうと思っていたことを告げる。


「フェルならもう来るぜ。報告書に手間取ってるみたいでな。お、そうだ、朝メシありがとな。美味かったぜ」


「調査はうまくいったの?」


「ああ、予想通り小規模のオークの集落があったから潰してきた。ブルーノが少しヘマして怪我をしたが、ポーション飲んで治る程度の怪我だったから大丈夫だ。そういやポーション作ったのはお前なんだって?」


「あー、フェルに持たせたやつね。あれ、こないだの遠征の時採取した素材で作ったんだよ。気にしないで、お金はかかってないやつだから」


「フェルにもおんなじことを言われたが、本当に代金払わなくていいのか?」


「いいよ。その代わり今度採取に行きたくなった時に手伝ってくれたら助かる」


「わかったぜ、俺たちも今度何か採って来たらオマエの所に持ってくことにするわ。ありがとな」


 黒狼の牙の人たちは連れ立ってギルドを出ていった。間をおかずフェルが僕を見つけて早足でやってくる。


「ケイ!待たせたか?ちょっと書類を書くのに手間取ってしまって、すまない」


「フェル!お疲れさま。怪我してない?ブルーノさんが怪我したって聞いたけどフェルは平気?」


「私の方は大丈夫だ。ブルーノは飛び出しすぎた私を庇って怪我をしてな。迷惑をかけてしまった。ケイの作ったポーションを渡したがよかっただろうか?」


 フェルが心配そうな顔で僕に聞く。


「そんなの気にしなくていいよ。ポーションなんて素材があればまた作れるから。むしろそうしてくれてよかった」


 ギルドを出て公衆浴場に向かいながらフェルの話を聞く。

 風呂から上がって髪を乾かしている時も、フェルはずっと今日あったことを楽しそうに教えてくれる。


 この方が話しやすいと言って、今日はフェルは僕に正面を向いて髪を乾かされている。ちょっと恥ずかしいんだけどな。いろいろ目がいっちゃうし。


 だけどブルーノさんに怪我をさせたと話すフェルは少し落ち込んでいた。


「……それで、ブルーノが慌てて前に出たところに少し窪みがあって、そこに足をとられてしまったのだ。それでオークの攻撃を受け損なってしまい肩を脱臼して……」


 今回の依頼は以前にフェルがはぐれのオークと遭遇した村の追加調査だ。

 オイゲンさんたち黒狼の牙はオークの集落があると予想。

 オイゲンさんが単独で偵察して、村からは少し遠いけど、森の奥の洞窟にオークが住み着いていることがわかった。


 オークは6体、上位種はいなかった。良い機会なのでフェルとブルーノさん、オイゲンさんが援護という3人組で、連携の訓練も兼ねて討伐したそうだ。

 フェルはまだいけると思って前に出たが、ブルーノさんは焦ってフェルに続いて前に出た。そこで今回の怪我を負ったということらしい。

 フェルにケガでもされたら僕に心配かけてしまうと、ブルーノさんは焦って飛び込んでしまったのだそうだ。

 フェルに気をつけるように注意しようと思ったけど、すごく反省しているように見えたので、何も言わずに無事で帰って来てくれて良かったとだけ伝えた。


 明日はフェルはエリママのところに行くそうだ。

 朝はギルドで受けられそうな依頼を探してから行くらしい。

 フェルの話ばかり聞いていたから、家の話とかするのを忘れていた。

 まぁ急ぐ必要もないよね。

 フェルは素振りを始めて、僕は明日のお弁当の用意をしてから眠った。


 次の日、またいつものように市場までランニング。少しだけ買い物をしたら、朝食を作る。その合間で弓の練習もした。

 

 今日も目覚めるとフェルに抱きしめられて眠っていた。そのおかげで少しいつもより起きる時間が遅くなってしまった。

 

「フェル。言い忘れてたんだけど、昨日商業ギルドに行ってみたんだよ。空いてる物件がないか聞いてみようと思って」


 朝ごはんを食べ終わって、僕が作る弁当を見ないように背中を向けているフェルに話しかけた。


「商業ギルドには冬の間は何か物件が出ることは絶望的って言われちゃってさ。ガンツが気を利かせて、部屋探しをゼランドさんに頼んでくれたんだ。もちろん大きなお屋敷はお断りしたよ。こぢんまりとした部屋でいいから探して欲しいって言ってきた」


「ガンツが、というと、昨日あの試作品を受け取りに行った時に話したのか?」


 フェルはこちらに顔を向けずに僕と話をする。


「そうそう。僕が特許料とか要らないって言ったら、ガンツがせめてゼランドさんにその借りを何かの形で僕に返させろって。フェルに相談できなくて申し訳なかったけど、その場でお願いして来ちゃったんだ」


「私のことを気にする必要はない。ケイがそうしたいならケイが決めて良いのだ。しかし、王都には物件が無いというのは本当らしいな。黒狼の皆もそう言っていた」


 フェルに出来たから振り向いて大丈夫というと、フェルは弁当箱を見つめて嬉しそうに微笑む。ほんとにかわいい。


「今日は3人分作ったから、みんなで食べて」


 そうしてお弁当の包みをフェルに渡した。お弁当箱は2つしかないので、おかずの量は増やせなかったが、その代わり今日はおにぎりを工夫してある。喜んでくれたらいいな。


 ギルドの前でフェルと別れて仕事先に向かった。














 

読んでいただきありがとうございました。

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