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フェル 森で偶然助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと暮らしていく話  作者: カトウ


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割り札

 88 割り札


 開店から30分。店はもう満席だ。


「今日からこの割り札で注文したものがわかるようにしたんです。お金を払う時に返してください。あと今日は無料でマヨネーズがつきます。次回からは銅貨1枚でつけられますから、注文の時に教えてください」


 マヨネーズは今日はサービスで唐揚げを注文した人につけることにした。まずは知ってもらわないとね。


 割り札のおかげで注文を間違えたり、順番が前後したりすることはない。お客さんの場所がわからなくても、割り札の番号を聞けばいいのだ。

 なのでお客さんがどこに座ったか気にかける必要がない。来た順に水とサラダを配って、料理ができたらすぐに持っていけばいいのだ。

 これは外に並んでいる人にも好評だった。並んでいる人達3人くらいにあらかじめ注文を聞いてしまうのだ。

 並んでいたお客さんが座ったと同時に、注文した料理が届くようにできるだけ調整して、やってみる。少し慣れてきたらその注文を取るタイミングもわかってきた。

 お客さんの回転も良くなり、昨日よりも良く売れた気がする。


 昼の営業が終わって一息ついたら賄いを作りはじめる。オーク肉を使っていいと言われたので薄く切って生姜焼きにしてパンに挟んで出してみた。


「これは美味しいね。この味付けはなんだろう。コクがあって癖になる」


「醤油って調味料を使っているんです。ゼランドさんの商会で買えますよ。ちょっと割高ですけど、僕は冒険者だから割り引いて売ってもらえるんです」


 ホランドさんは感心して頷いている。


「祖父の国の調味料なんです。王都で手に入った時は感動しました」


「ケイくん。オーク肉なんだが、もっといい料理方法とか知らないかな。出している料理の種類が少なすぎるからメニューに入れてはいるんだけどあんまり出なくてさ。まあ唐揚げがたくさん出ればうちとしては儲けが出るし構わないのだけど、いつも食材が余ってしまうんだ」


「揚げ物でしたら良いのがありますよ。夜にでも賄いで作ってみていいですか?」


 ホランドさんは喜んで「任せるよ」と僕の肩を叩く。けっこう強く叩かれて少し痛かった。


 厨房を借りて明日のお弁当の用意をする。ホーンラビットの唐揚げを少し作った。僕の唐揚げは醤油味だ。卵液が少し多かったのかふっくらした仕上がりになってしまった。まあこれはこれでいいか。あとは野菜の切れ端を少しもらってふりかけを作る。オーク肉も少しミンチにして炒めて入れた。


 ふりかけは保存瓶に入れて、唐揚げは僕のお弁当箱に入れておいた。


 夜の営業が始まる。

 昼間に来ていた仲買人にラウルさんの店のことを話したら店の場所を知っていたので明日から30個タマゴを発注することができた。

 マヨネーズは今のところ好評だ。

 ホランドさんが追加注文していたパンが届く。今日は昼にけっこうお客さんが入ったから追加で注文したのだ。

 店は満席で外にも数人並んでいる。

 受け取る余裕がないから、厨房に直接置いて欲しいとお願いする。


 夜のピークが落ち着いてきた頃、3男が来た。ガンツのところで僕がここで働いていることを聞いて来たらしい。

 3男はスープとパンのセットと唐揚げ定食を頼んで完食して帰った。


「ここの唐揚げ美味しいからねー。うちで油を卸してるんだよ。またそのうち食べに来るねー」


 3男がそう言って帰って行った。

 仕入れはうまくいったのかな?


 店の看板を準備中に変えようと外に出たらフェルが来た。

 フェルに掃除をお願いして賄いを作る。

 ちょっと迷ったけどごはんを炊いた。

 なんとなくフェルもその方が喜ぶ気がしたので。


 オーク肉を使って少し薄めのトンカツを作る。下味には秘伝の塩ダレを使った。

 揚がったトンカツにレモンを絞って、サラダと一緒に出す。スープは余ったものを使った。けっこう豪勢だけどいいのかな?


 2個だけサンドイッチにしたものも作って半分に切る。一応お店のメニューにできそうな感じに作ったつもりだ。


 奥さんも2階から降りて来てみんなで夕食を食べる。みんな美味しいと喜んでくれた。

 お米も好評で、精米器の話をしたら、興味を持ってくれたみたいで、今度値段を聞いておくと言っておいた。

 お米の原価を伝えるとその安さに驚いて、ホランドさんはけっこう本気で店で出すかどうか悩んでいた。


 フェルがもっと分厚い方が食べ応えがあるのではないかと言う。

 確かにそうなんだけど、それだと味付けが大変なんだと説明する。

 ソースがあればいいんだけどそんなものは無いので、自分で作るしかない。そうなると仕込みの手間がかかるからなるべくそうはしたくなかった。



「塩ダレを少し工夫すれば何かできそうだな」


 ホランドさんがトンカツを食べながら考えている。


 トンカツの作り方はホランドさんにはもう教えてあるので、休みの日に少し研究してみるそうだ。


 洗い物はやってくれるそうなので、僕たちは食べ終わったら店を出た。


 フェルは依頼が終わったあとエリママのところで時間を潰して来たそうだ。


「森でもいろいろ採取して来たからな。帰ったら渡すが楽しみにしているのだ。リンが手伝う代わりにお弁当のおかずをよこせと言ってきてな。泣く泣く卵焼きとおにぎり1つで手を打ったのだ。だがおかげでいろいろリンから教わって、私も少し野草に詳しくなったぞ」


 洗濯をしながらフェルは今日も楽しそうに話してくれる。

 明日フェルはエリママのところに行くらしい。冒険者の仕事は休むみたいだ。マジックバッグは僕が持っていていいと言っていた。


 お互い別の仕事を始めてから、一緒にいる時間は前より会話が増えた気がする。


 家に帰って今日の採取したものを見せてもらう。キノコが3種類。ケチャップに使える香草。

 バジルやローズマリー、パセリにローリエ。


「すごいよ。フェル。こんなにたくさんの種類があるんだね。南の森ってすごいね」

 

「リンがな、いろいろ教えてくれたのだ。最後の方は私にも見分けがつくようになった」


「今度フェルと南の森で採取するのも良いかもね。明日乾燥させて使えるようにするよ。ありがとう!」


「実は南の森はまだ立ち入り禁止が解けていないのだ。私たちのホーンラビット狩りのせいもあって、だがもう少しすればそれも解除されるだろうとセシルが言っていた」


「そうなんだ。じゃあ入れるようになったら行ってみよう。来年になったら入っても大丈夫かな?」


 あと2週間ほどで年が明けるはずだ。

 ちょうど今のミナミでの仕事が終われば新年になる。新年は身近な人に贈り物をするのが王国では一般的だ。フェルには前に3男から買っておいたお財布をあげるつもりでいた。


「楽しみだね」


「ああ、楽しみだ」


 フェルといつものようにくっついて今日も眠りについた。















 




読んでいただきありがとうございました。

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