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フェル 森で偶然助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと暮らしていく話  作者: カトウ


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3男

 29 3男 


 ギルドを出たのは3時前、今日はいろいろやりたいことが多いから急いで市場で買い物して、ゼランド商会に向かう。


 店の中にゼランドさんの姿はなかった。

 少し軽そうな金髪の店員に、取り置きしてもらっているテントを買いに来たと伝える。

 するとその金髪の店員は柔らかい口調で話し始めた。


「あー、君たちかぁ、父から聞いてるよ。テントだよね。もちろん用意できてる。昨日父が言った思うけどお代は銀貨10枚ね。それにしても君たち、ずいぶん父に気に入られたみたいだねー。うん。確かにうちの父が気に入りそうな感じだ、父は丁寧で真面目そうな人が好きだからね。あー、僕が仕入れた醤油と味噌も買ってくれたんだっけ?ありがとね。あれ領都で味見してさー、これはいけるって張り切って仕入れたんだけど全然売れないんだー。行きつけの食堂にも持ってって味見してもらったんだけどさー。味は気に入ってもらえたんだけど、値段を言ったら、高い!って怒られちゃった。あ、値段のことは気にしなくてもいいよー。このままだったらどんどん悪くなっていくだけだから、買ってくれた方がこっちも助かるんだ。少しは儲けも出てるから心配しないで。お店に来て僕の名前を言えばおんなじ値段で出すようにお店の人たちには伝えておくからさー。なくなったら遠慮なくまた買いに来て。ああ、僕のことは3男って呼んで、みんなそれでわかるから。逆に僕の名前ちゃんと知ってる人少ないんだよねー。僕もあんまり自分の名前好きじゃないしねー。なんか固いんだよ。今日はテントのほかに欲しいものはある?なんなら案内しようか?それとも自由にお店を見る方がいい?」


 3男はこちらが何か言うタイミングも与えず、マイペースにしゃべり続けた。


 「じゃあ3男、僕はケイ。こっちはフェルだよ。これからよろしくね。3男、さっそくだけど折りたたみの椅子ってある?1番安いのでいいんだけど」


 普通なら年上に敬語で話すものだけど、なぜか3男にはタメ口で話しかけてしまう。なんとなくだけど3男の持つ雰囲気がそうさせてしまうんだ。


「ケイくんにフェルちゃんかー。2人ともいい名前だねー。こちらこそよろしくね」


 そう言って3男は野営の道具があるコーナーに僕たちを連れていく。


「これなんてどう?野営用の椅子なんだけど、こういうふうにほら、一瞬で開くでしょ。畳むときは背中のこことここ、やってみて、そこ持って閉めるように持ち上げると、ほら、簡単でしょー。値段は木製の1番安いやつよりも安いしさー。もちろん木製の椅子の方が丈夫で長持ちするかもしれないけど、椅子の上で飛んだり跳ねたりしなければ滅多に壊れないよ」


 3男は座る部分の布地を何度か叩いて丈夫な作りだと言うことを説明してくれる。


「テントの余った生地を使ってるからさー。ほらけっこう丈夫。値段も安くできるし、ほら、軽いでしょ。畳むと真っ直ぐ一本の棒みたいになるからマジックバッグにも入れやすいよ」


 前世の記憶にあるキャンプ用の椅子だ。記憶にあるものより少しだけ重たい気もするが、確かに軽くて丈夫そうだ。気に入ったので2脚買いたいことを3男に伝える。


「気に入ってくれて良かったよー。これ僕がテントの切れ端をみて思いついたやつなんだけど、実はあんまり売れてないんだー。野営をする冒険者が全員大容量のマジックバッグを持ってるわけじゃないから、荷物になるってみんな買ってくれないんだよー。中堅クラスの冒険者はなるべく狩った獲物をたくさん持ち帰りたいからねー。僕はいいと思うんだけどねー座り心地もいいし」


 3男が実際に座って見せる。


「色は何種類かあるよー。フェルちゃんにはこの赤が似合いそうだね。ケイくんはー、テントが緑色だから、この青かな。ああ、黒はダメだよ。僕も作ってみて失敗したと思ってるんだ。椅子が夜になると見えにくいんだよ」


 言われた通り赤い椅子と青い椅子をお願いする。


「ありがとー。なんかケイくんたちとは好みが合いそうだね。うれしいよ。値段は……ちょっと後にしていい?後でまとめてから値引きしてあげるから。僕細かい計算は苦手なんだー。あんまりお客さんにオマケしちゃうと父に叱られるけど、ケイくんたちなら多分大丈夫だと思うし。逆によくやったって褒めてもらえるかも。じゃあ次は何?なんでも言って」


 キャンプ椅子が手に入ったので食卓にするテーブルも欲しくなる。作業台はこの前買ったやつでいいだろう。

 野営コーナーにあった折りたたみのテーブルはちょっと値段が高かった。


「ねー、3男。これより安い折りたたみのテーブルってない?僕たちあんまりお金持ってないんだ。これから装備も整えたいし、節約できるところは節約していきたいんだよ」


「そうだねー。多少重たくてもいい?マジックバッグに入れちゃえば重さは関係なくなるでしょ。畳むのも少し面倒だけどそれでもいいなら持ってくるよー」


 お願いすると3男は隣の建物に消えていった。


「ふぅ。お待たせー。ちょっと広げるね。この袋にバラバラにしてしまってあるんだ」


 そう言って戻ってきた3男が中身を出す。

「こうやってまず天板を広げてねー。この天板は丸いんだ。もともと騎士団の遠征の時とかに、このテーブルに地図を広げて会議できるようにするために作られたんだー。ここの折りたたみのところにこうやってこの金具を刺していくんだ。無くさないように気をつけてね。一応予備は入ってるけどそれも無くしちゃったら新しく作ってもらわないといけないからね。そんで足を4本。このネジ穴に差し込んでぐるぐる回して、ちょっとやってみる?あ、そうそう上手いね。ねっ、ちょっとめんどくさいでしょー。それで足がついたら、あ、ちょっとそっち持ってくれる?僕、身体強化の魔法使えないんだ。適正がなくって、たまにいるみたいなんだよ。水とか火とかはけっこう使えるんだけどね。僕の場合少し偏ってるんだ。じゃあ持ち上げるよー。それでひっくり返して。これで出来上がり。天板はけっこうしっかりしてるよ。大人1人くらいなら登っても壊れない。ダメなところはねー。あの野営用のテーブルは足の長さが調節できるようになってるんだけど、こっちの足にはついてないんだー。だから置く場所によってはガタガタしちゃうんだ。土魔法とか使えれば、調節は簡単なんだけど、それか薄い小さい板をこの袋に入れとくとかだね。浮いてる隙間に入れるんだ」


 出来上がったテーブルは、四つ脚の小さな丸いテーブルで、大きさ的にはフェルと2人食事をするのに問題なさそうだった。


「高さはさっきの椅子に合わせるんだったら少し脚の先を切ってしまえばいいと思うよ。こっちに任せてくれるならいい長さに切っちゃうけど。このテーブル実はけっこう前から売れ残ってるんだ。ガンツがもっといいもの作っちゃったせいなんだけどねー、ああ、ガンツってうちの知り合いの鍛冶屋だよ。昨日テントの入り口の金具見たでしょ?あれ作ったのがガンツだよ。ああ、ごめん。話がそれちゃったね。このテーブルもう処分するところだったから気に入ったらタダでいいよ。持ってって。実はさっきゴミ捨て場から持ってきたんだ」


 全然使えそうなので譲ってもらうことにした。足の長さの調整もおまかせでやってもらう。

 3男は店の人を捕まえて椅子と一緒にそのテーブルをその店員さんに預けた。


「あとは何かあるかな?ちょっと僕テーブルの足の長さを決めてくるからお店の商品見ながら考えておいて」


 3男はそう言って隣の建物に消えていった。

 ほんと、おしゃべり好きっていうか、ずっと喋ってたな、あの人。

 でも良いところだけじゃなく、良くないところも隠さず教えてくれるし、使い方も丁寧に説明してくれた。けっこう信頼できる良い商人なのかな、3男って。






















読んでいただきありがとうございました。

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