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フェル 森で偶然助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと暮らしていく話  作者: カトウ


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王都

 18 王都

 

 目覚めると外はもう明るかった。

 フェルはまだ眠っているみたいだ。僕の胸に顔を埋めて寝息を立てている。

 

 微かに上下するフェルの体にあわせて、かわいいフェルの寝息が聞こえる。

 このまま離れてしまうのがなんかもったいなくってしばらくそのままでいた。


 フェルが呼吸をするのに合わせて息を吸ってはいてを繰り返すと、そのうち2人の呼吸がピタリと重なりあってくる。

 2人の体の境目がわからなくなって来て、まるで1つの生き物のような感覚になる。

 その不思議な心地よさに酔いしれていると、不意にフェルの頭の下に敷いている手が痒くなってきて、反射的に反対の手でその場所を掻く。図らずもフェルを抱きしめてしまう格好になってしまった。

 ビクッとフェルの肩が揺れる。


「フェル。おはよ」


 そのままの体勢でそう言うと


 「おはよう。ケイ」

 

 胸の辺りから声がした。


 朝ごはんを食べたらもう9時過ぎだ。宿をチェックアウトして門に向かう。

 朝はお互い必要なことだけしか話さなかった。

 本当はフェルといろいろ話しながら王都に向かいたいのに。


 フェルは僕が昨日買って来たサンダルを履いている。

 ぶかぶかでときどき足が前の方からこぼれそうになってる。

 デザインも無骨で明らかに似合ってないのだけどフェルは何の文句も言わずそれを履いている。


 フェルの歩くスピードに合わせてその隣を歩く。隣を歩くフェルが僕の手を握る。

 繋いでくれたのか、それともただ歩きにくいから支えが欲しいだけなのか、フェルは何も言わないのでわからないけど、無言で2人で手をつなぎ、ゆっくり門まで歩いた。


 普通に歩けば5分もかからず門に着くのに、15分くらいかかっただろうか。

 乗り合い馬車のところに着いた。

 

 今日も僕たちが最後のようで、僕たちを見た乗客は次々と馬車に乗った。

 フェルは馬車を見つけると繋いでいた手をパッと離して、何事もなかったかのように歩き始める。御者のおじさんに割符を見せて僕たちも馬車に乗り込んだ。


 僕たちが乗り込んだら馬車が動き出した。

 馬車はあと3時間もすれば王都に着く。

 心なしか馬車に乗る乗客たちの表情も明るい。


 けれど僕たちの座っている場所だけは空気が重かった。馬車に乗ってから何の会話もしないからだ。

 いつものように毛布を敷き2人並んで座っているのだけど、2人とも馬車に乗ってから一言も話していなかった。

 フェルは今何を考えているんだろう。知りたいな。フェルのこともっと知りたい。


 ふとフェルを見ると足をパタパタと動かしてサンダルで遊んでいた。ときどきにやけて、その後またさらにサンダルを動かす。

 抱きしめたい衝動に駆られるが周りの目もあるので我慢する。

 なんだろうな。昨日からフェルになんかしたとしても何でも許されちゃいそうな気がしてる。

 だけどそんな変なことするわけにはいかないから、そんな空気を出すフェルのことをどう扱っていいのかわからないんだ。

 じいちゃんからも言われてるし。


 ひときしりサンダルで遊んでからフェルが丸まっていた背中をのばす。

 その後普通に座ってぼんやり車内を見ている。座席に手をついている僕の右手首がなんかくすぐったい。見ると僕の右手首、袖口のあたりを恐る恐る確かめるように、ちょんちょんとつまんで引っ張るフェルの手がある。その手を優しく握ってあげると最初はピクッと手が動いたが、優しく握り返して来て、だんだん指を僕の指に絡ませ始める。

 フェルが大きく深呼吸する。

 

 その後王都に着くまでずっと手を繋いでいた。


「まもなく王都に着くぞ!」

 

 御者のおじさんが大きな声で言う。立ち上がって、馬車の幌の隙間から除けば立派な嬢壁が遠くに見えた。


「フェル!王都だよ。ほら見てみなよ。遠くにお城も見えるよ」


「本当かケイ、私にも見せるのだ!」


 車内で興奮してはしゃぎ出す僕たちを他の乗客が笑ってみている。

 なんかずっと頷いてる人もいる。


 やがて馬車が停止して乗客が降り始める。

 僕も飛び降りた。


「フェル行こう!」


 サンダルのせいで少し歩きにくそうにしてるフェルの手を取って、城門での通行の手続きをする列に向かった。


「中で先に待ってるからなぁ。割符はその時返してくれよぉ」


 御者のおじさんが僕たちに向かって大声で叫んでいるのが後ろから聞こえる。

 乗り合い馬車の通行の手続きは別なのだろう。


 列に並んで順番を待つ。並んでいるうちに、乗り合い馬車が昨日泊まった街になぜ立ち寄ったのかわかった気がする。

 あの街に泊まらなくても3日目の夕方には王都に到着するくらいのペースで馬車は走っていた。

 なのにわざわざ昼過ぎに手前の街にで一泊させて、昼前のこの時間に王都に着くようにしたのか。

 城門の手続きも深夜までやってるわけがない。そしてこの行列だ。

 夕方に着いても手続きできない可能性がある。手続きできなければ門の前で野営しなくてはいけないんだろう。見ればあちらこちらに野営の跡が残ってる。


 確実に王都に入れる時間に到着したかったんだな。やっぱりいろいろ考えられてるんだ。


 そんなことを考えつつ、僕たちの順番が来たのは並んでから30分くらい時間が経った頃だった。

















読んでいただきありがとうございました。


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