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ブラック企業のサラリーマンの俺はボロアパート住みの文学少女を助けるためにおにぎりと牛乳を食しながらコントロール不可能なドラゴンに乗って入道雲の彼方の伝説の大魔王とブラウン管の森の偽物聖女を倒しに行く

作者: 夢のもつれ

俺の会社はマジブラック企業だ。1か月の残業時間は120時間以上。リモートや時差通勤くらいどこでもやっていると思うが、「カネ掛かるだろ? 利益増えないだろ?」で片づけられる。


そんな殺伐とした職場で唯一の救いがバイトのゆずちゃん。先日、彼女とお茶しながら梶井基次郎や中島敦の話で盛り上がった。この時ほど暗いと言われながら小説を読んでてよかったと思ったことはない。


そのゆずちゃんが熱があって、もう1週間も休んでいる。口さがない連中は「コロナだ」「コロナね」と噂している。俺は総務に頼み込んで彼女の住所を聞き出し、食料品や飲み物を抱えてボロアパートを訪ねた。錆びた階段を上がり、剥がれたベニヤ板のドアをノックする。


「あ、すみません。わざわざありがとうございます」

少しやつれたようだ。

「だいじょうぶ? これ差し入れ」

「よかったら、上がりませんか?」

そのお言葉を待ってました。


「コロナじゃないんでしょ?」

「コロナなら、いいくらいです…」

「どういうワケ?」

「はい、それがですね…」

一気呵成に話し始める。待ってたのか?


「…というワケなんです」

というワケって、伝説の大魔王だの偽物聖女だのと言われてもねぇ。

「それで俺にどうしろと?」

「倒してください」

「2人とも?」

「もちろんです」

さわやかに言うなぁ。

「なんか武器とかないの?」

「今、スマホでドラゴン呼びましたから。…あ、また熱が出てきたので失礼します」

ベッドにもぐり込んじゃった。


分けてもらったおにぎりを食べながら階段に座ってドラゴンを待つ。牛乳には合わないなと考えていたら、冷たい風が吹いて思ってたより小さなドラゴンが来た。

「目的地はどこだ?」

黙って入道雲を緑の目で示す。あの彼方なら伝説の大魔王の住処にふさわしい。ブラウン管の森は現代美術館がお似合いだろう。


大魔王との戦いは筆舌に尽くしがたいものだった。いや、字数不足のせいじゃない。ドラゴンがコントロール不能で俺の言うことを聞かず、倒せたのが奇跡だった。


次にブラウン管がいっぱい地面に刺さった森にたどり着いた。

ブラウン管には多くの信者が映し出されている。

「どうしてゆずちゃんを苦しめるんだ?」

「かくかくしかじか」

おかまいなしに被っているベールを剥ぐ。

「ぐ、ぐああぁ!」

後頭部から背中は赤黒いぶよぶよの化け物だった。

ブラウン管が次々と割れていく。

信者を失った聖女は溶けていった。

…年休取ってなかったなと思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 文字数を詰め込もうとして、きちんとストーリーになっているところ。 [気になる点] まあ、字数もギリギリだしそうなるよねー。 [一言] おんなじような物を作った私としては親近感を感じます。
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