パーティー
●パーチィー(エルウッド視点)●
まだ朝の九時だが、オレ、エルウッドの機嫌は最悪だった。
清々しい空気に包まれ、空には青空が広がり太陽は赤々に燃える素敵な日だいうのに、アブレストワールドの一国の王子(次期王)は、それはもう不機嫌だった。(この文偉そうで嫌だな)
そして、それには3つの理由がある。
1・大佐(父であり王である変人アルフ)が城に仕えるメイドと楽しそうに話していたから。(朝からナンパはやめてほしい)
2・城下町で出会った生意気な少女にチビ呼ばわりされたから。
3・大佐がいきなり「お前のフィアンセを決めるぞ。」と言い、母・エリザベスも賛成したから。
「ったく……何だよ、一体!」
オレは髪をボリボリとかくと、ため息と一つついた。
オレの自慢の金髪が揺れる。
「母さん……大佐は!?」
後ろにいた母のエリザベスにオレは言った。顔は自然に引きつる。
大佐とは、王・アルフ=ハイラル・8世の事だ。アルフは、王なのだが……元は軍人の息子だったので、軍人としても働いている。こんな事は、この国始まって以来勿論前代未聞だ。
軍人として、アルフの地位は、大佐。もっとも、この国に戦争なんてものはないから、大した仕事はないと言っていい。
憲兵や、面倒な雑務を下の地位の奴らに押しつけられる程度である。
ちなみに、アルフ=ハイラル大佐は、オレの父親だ。認めたくはないが。
「町の視察よ。」
冷静な母さんの言葉。何で母さんは大佐と結婚したのか、いつも不思議に思う。
「一人で行かせたのか?」
「そうよ。」
即答だ。まぁ、あの大佐の事だ。召使いを連れて町に出かけるなんて、似合わない。
「やめた方がいいんじゃねぇ?また女に囲まれペチャクチャと……。」
「いつもの事でしょう。」
これも即答だ。
「そうだな。」
相槌を打っておく。母さんは、心が広い。大佐はかなりの幸せ者だ。
オレは大きくため息をついた。
「なぁ、母さん。何で大佐はいきなりオレの婚約者を決めようなんて言い出したんだ?」
「私にはわからない。……それから、エルウッド。父親のことを、“大佐”って呼ぶんじゃありません。」
「はいはい……。」
勿論、これからも親父を大佐って呼ぶつもりだ。
「じゃぁ、質問変えるよ。なんで母さんはオレの婚約者を決めることに……大佐に賛成したんだ?」
オレは、真剣だ。母さんは、読んでいた本から目をあげて、オレを見据えた。
「貴男に……、エルウッドに幸せになってほしいのよ。第一、王家は16歳までに婚約者を決めてないと……。」
母さんの言葉を遮るように、オレは手をかざす。そして、目で「もういいよ。」と訴えた。
母さんは、真面目にオレのことを考えてくれるんだ……。大佐は、面白半分だろう。
「どうせ、大佐はオレで遊びたいんだろう。メインは、国中の女とのお喋りかな?」
皮肉を込めて意地悪く笑う。大佐のせいで、オレの性格は日々歪んでいく気がする。
「大佐のバ〜カ」
これは、母さんに聞こえないように独り言。……大佐の思い通りにはさせない!
パーチィーまで後12時間……
短いけどシリーズ的多いパーティー編。
だいぶギャグ要素強めですが書いててめちゃくちゃ楽しいです。