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ブルートレイン  作者: さくらとむ
2/5

悪い地母神について

じゃあ悪が何か話そう。

昔二人の仲のいいカップルが別れた。そして彼女は自分の生んだ子を含めた、さらにこれから生まれるものを一日で千殺すと宣言した。男はこう答えた。

「なら1500他のことセックスする。しかも君と別れて。」

こうして現在が生まれた。僕は本当にそう思っている。何故ならば死に勝つような武器は手元に実際これしかないと思うからだ。おのれ神を愚弄するかこの虫けら!じゃあ高千穂神楽を見てくるといい。僕が正しいということがわかるばかりでなく、昔の家族愛、縁、神とはどのように人々を囲い包もうとしていたか分かるだろう。おまえが死に属していなければの話だがね。サヤの神はしばしば結界を意味する。


どうして僕がムカついているのか話そう。誰も死の女を避けられないからだ。それはポテンシャルであって、回避できない。俗に言うファムファタールだ。どういうことかというと、あらかじめ誰それと付き合おう、という思惑の中に彼女たちは普通に暮らしている。そして牙を剥くまでそれは常識的にすら感じられるので分からない。ギュスターヴモローが描いた女達を全部足し合わせてもこいつの方が悪く、下劣だと言っておこう。究極的に自分のことしか考えないと、小さな女のミイラが出来上がる。それがその正体だ。それは強力無比で、しかも姿を柔軟に変えることができ、あまつさえ大勢を操れる。君は彼女に反抗しようとしても外堀が埋められているから彼女と付き合うしかないし逃げる方法はない。彼女は君を殺すためなら何でもするし愛しているといいながらそのような全てのことをして満足する。

その本質は何か?理由なんかない。ふざけんな、意味がないのが全てなのだ。大丈夫。そういうのはこの世界中にいるし、それが普通なんだ。


例えば、神という言葉は空っぽだ。人間と同じくらい非人間的だ。だから神さまだからと思ってうっかり神社の境内に入ったら誰一人もいなくてこの上なく不気味だ、なんてことはある。日本人はそういうのをよく分かっていた。僕のような馬鹿じゃない。神とは形であり形は死だ。生きているものはおそらくこんなところに閉じ込められないようにするだろう。だから閉じ込めているんだ。分かるかな?楽しいおもちゃじゃないんだ。


じゃあ、そういう彼女達にできることは何だろう?何も。僕ら男はそういう女を切り捨てるプログラムに任意で参加することができる。それは通称1500ガールズと呼ばれていて、まともな子と無料でマッチングできるサービスだ。信じるかい?信じられないだろうけど信じられないような素晴らしいことは信じられない。悪い運命もあるのだからいい運命もあるはずだ。しかもそこから学ばないということはまた同じことの繰り返しだ。僕は何か間違っている事を言ってるか?


そういうわけで僕は身持ちの堅い何かで自分を満たしている。この島はそもそも、そういう目的のための存在であるはずだった。いや、間違いなくそのはずだ。


どうだい?分かるだろう?自分が何故か元気になっていることが!あのギターはなんて素晴らしいんだろう!どうして貯金を崩さないだろうか。いや崩す。そんな気分だ。何故今そんな事をいい出すのか?はは、決まってるじゃないか。イメージが汚れたせいで、女そのものをさほど素晴らしく思えなくなってしまうからだ。そしてそれは間違ってないか?いや、正しくない。そうだ。何故影を感じる必要があるのか。これは究極的な問いに思える。


僕には彼女が正しいように思える。そう言わねばならない。僕はノッていなければならない。さもないとサゲるグルーヴがやってきてこの感じと確信を奪っていくはずだ。そうなれば僕は今さっきのようにきっと立ち止まらなければならないはずだ。そして罠にかかり、結局サゲるグルーヴに流されてしまうのだろう。それは死の雰囲気だ。もしかするとあいつは男に化けるのが上手いのかもしれない…鉄面皮の硬直した、冷たい感じのするやさ男に。


悪がこれだけかって?それは違う。いや、同じかもしれない。

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