自己紹介
机の上には、いい匂いのするスープと、パンが2つずつあった。
「はい、お水!!」
子供がニコニコしながら差し出してきた。
私は喉が乾いていたので、この水が本当に安全なのかを考えずに受け取り、飲みほした。
「ありがとう」
喉が潤ったおかげなのか、いつもの声が出た。
その間に用意しておいてくれたのか私の分と思わしきスープとパンが机の上に置かれていた。
「さぁ、まずはご飯を食べましょう。お腹、空いてるでしょ」
ご飯を抜かれることなんて珍しくなかったので、お腹が空いている状態が普通だった。なんて答えればいいか迷っていると、
「耳無し、一緒に食べよ!!」と、大きな声で子供が言った。
耳有るんだけど…と思いながら座った。
言われるがままに食べていると、
「私は、リサ。この子はリトよ。耳無しは?」と、突然言われた。
「さと…いや、優香です。ゆうか」何となくこの世界では苗字を名乗らなくていいのだと思った。その苗字を自分のものだと思っていないと言うのもあるが。
「ユ、ユゥカ?ユッカ?」と、リサさんとリトくんは私の名前を言おうと頑張る。
「優香です」
「うー、難しいよ。やっぱり耳無しの世界の名前って難しいんだね!! ユーカって呼んでいい?」
とリトくんはニコニコしながら言った。
内心、複雑だったが、この世界の人には発音が難しいのかもしれないと思ったので頷いた。
「ユーカ、これからあなたにこの世界のことを教えないといけないわ」
と、リサさんは真剣な顔をして言った。