目覚め
なにかすごくいい匂いがする。
起きてまず思ったのは、それだった。
体を動かそうとすると、手も足もちゃんと動いた。
ただ、それだけの事にほっとする。
耳無しと言われたことを思い出して、少し焦りながら、手を動かして、耳を触る。
「良かった…ちゃんとある…」
喉が渇いているせいか、カスカスの声が漏れた。
すると大きな音を立ててドアが開いた。
「あーーーー!!起きてるーー!!」
獣の耳が生えた6歳ぐらいの子供だった。
私はびっくりして、その子の「耳」を見つめる。
その子に獣の尻尾があるのが見えて、さらに驚いた。
男の子の声が聞こえたようで、母親と思わしき人が入ってきて、こう言った。
「あら、おはよう。色々聞きたいことがあると思うけど、まずご飯にしましょうか」
もちろんその母親にも「耳」が生えていた。
その母親は優しい声で
「立てる?」と言い、私を支えてくれた。
子供も心配そうな目で私を見ている。
「大丈夫です」とまたカスカスの声が出た。
「あら、大変、お水飲まなきゃ。リト、お水用意しておいて」
リトと呼ばれたその子供は「はーい!!」と元気よく返事をしてドタドタと部屋を出ていった。
私は、その女の人について、ゆっくりと部屋を出ていった。