side ミーシャ
「俺の愛するものを傷つけようとするのは本当の愛なのか」
その言葉が何度も頭に浮かぶ。
あれほど焦がれたあの青い目に、呆れたようなあの顔に、何度も何度も責められている気がした。
ほかの冒険者たちの事なんて忘れて、ただ足元をふらつかせながら家に帰った。
いつものお気に入りの椅子にドサッと腰掛けると、家に着いて力が抜けたのか、涙が出てきた。
あの人に愛されようと、手入れを欠かしたことの無い髪も、いつあの人が来てもいいように、ふわふわにブラッシングした耳も、少しでも可愛いと思ってもらうためにしたネイルも、もうなんの意味もなかった。
「本当の愛なのか」
また、あの人が私を責めたてる。
本当の愛って、本当の愛ってなんなんだろう。
私があの人に抱いてた想いは、愛ではなかったなんて言うのだろうか。他でもない、貴方が。
確かに、獣人は、一般に番いを持つ。番いを愛し、愛され、子供に恵まれ、幸せに生きる。
それが、普通だ。
でも、私は、違う。番いに出会うことが出来なかった。運命に見放された。ずっと、番いという存在が羨ましくて、羨ましくて仕方なかった。
少しでも番いを見つける機会を増やそうと、番いがいない人がほとんどの冒険者ギルドに務めることにした。
あの人に出会った日は、初めてギルドの窓口に立った時だった。
あの人がギルドに来たあの時、あの人にとってはなんでもないんだろうけど、私は運命だと思った。
胸がぎゅっとなって、ドキドキして、あの人に見つめられたい、抱きしめられたいなんて思った。
そう、あの時は思った。番いなんじゃないかなって思った。 私は…、私だけは。
あの人は、何も感じなかったようで、私の隣の窓口で用事を済ましていた。
本当に何も無かったように。
その時気づいた、私は彼の番いではないんだって。
悲しかった、ようやく出逢えたと思ったのに。でも、私には番いであることかどうかなんて関係なかった。
好きだった。ただただ好きだった。胸が、張り裂けそうなほど痛い。
「何がいけなかったんだろう」
誰もいない部屋でそう呟くと、声が部屋に溶けていくようだった。
「本当の愛なのか」
またあの人が私を責める声が聞こえた。
お久しぶりです。遅くなり申し訳ないです。




