幸せな朝食
次の日の朝。
「おはよう」と、私が起きたのを見計らってルカが言う。
「お、おはよう。まだ朝早いけど、ルカは大丈夫なの?」
「冒険者は日が出ている時に動くのが鉄則だからな。自然と朝型になるんだ」
「そうなんだ。大丈夫なら良かった」
「今日も可愛いな。寝癖がついている。ユウカの髪は、ふわふわしているな」
髪を愛しむように撫でたり、手で梳かしたりしながら言う。
「うぅ、くせ毛なの…。いつもはもはもはしないようにまとめてるんだけど」
「ふわふわした髪も似合っているが、髪を結んでいるユウカもみたいな。市場にでも買いに行こうか」
なんて、ルカは、朝から昨日の言葉を実践するかのように甘い言葉を続けた。
「朝ごはんにしようか。と言っても、俺はあまり料理をしないからエグエグぐらいしかないのだが」
「エグエグ、前食べた時すごく美味しかったよ」
「それなら良かった」
そんな話をしていると、玄関のドアが勢いよく開いた。
リサさん達だ。
リサさんはこちらを見るなりつかつかと歩み寄ってきた。
「ユーカ!! 無事でよかった。窮奇に襲われてたなんて…。生きているのが奇跡よ。なんで外なんかに…。とにかく無事でよかった」
「ユーカ、危ないことはしちゃダメだよ…?ルカ兄ちゃんが嫌いになったらいつでも家に来ていいんだからね」
「ユーカ、昨日ぶりだな。大丈夫か」
と、リサさん、リトくん、ルクスさんは言う。
「皆さん…ありがとうございます…」
優香は、心配をかけていたことへの罪悪感と、そして心配をしてもらえる幸福感を感じていた。
「ユーカは私たちの家族でもあるんだから。ねっ」
と、笑い合うリサさん家族。
「朝ごはんはまだなの?」
「はい。今から作ろうかっていう話をしていたところです」
「じゃあ、うちに来てみんなで食べましょう。昨日お肉が安かったから買いすぎたの」
ということで、リサさんたちの家にお邪魔することになった。
道中、私とリトくんとリサさんは、エグエグの食べ方で盛り上がっていた。
「やっぱり塩コショウよ。素材の味を活かしてこその料理だわ」
「えー、俺は絶対醤油!!ユーカは?」
「ソースが好きです」
リトくんとリサさんは驚いた顔をして
「絶対ない!!」と声を合わせて言ってきた。
そんな私たちの後ろで、ルクスさんと、ルカは難しそうな話をしていた。
「やはり、なにか……」「ああ、そうだな…」
家に着くと、ルクスさんは大きなお肉を切り分け、それをリサさんが塩コショウで焼いてくれた。
「モーカウの塩コショウ焼きよ。召し上がれ!」
どう見ても牛肉のステーキだった。
「朝からステーキなんて贅沢ですね。ありがとうございます」
「贅沢?獣人の主食は肉だぞ」と、ルクスさん。
優香はキョトンとしながら言う。
「初めてご飯頂いた時、パンだったのでパンが主食かと思ってました」
「あはは、あれは本当に手抜きだったのよ」
「あの時言えなかったけど、すごく美味しかったです」と、あの時言えなかった気持ちを言うことが出来た。
「まぁ、ありがとう」
「僕もママの料理一番好き〜」
「俺もだ」
こうして幸せな朝食をゆっくり頂いた。




