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石の支配  作者: シュシュ
第1章 『涙から始まる物語』
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第4話『天使と悪魔』

 白い翼の天使と黒い翼の悪魔。

 今、ミドの目の前に居るのがそれだ。


「あれぇ?驚いてるなぁ?」


「実際に天使と悪魔が現れたのだから、驚くのが普通です」


「いちいち、自分が正しいみたいに言うな」


「僕が正しいですよ」


「なにぃ?」


「まぁまぁ、落ち着いてください」


 みんなについていけない。

 ラピスは、天使と悪魔と普通に会話してしまっている。


「あの……」


「紹介するね。僕と契約している悪魔のネビロス。ネビロスを監視する天使のミカエルだよ」


「地獄の監察官、ネビロスだ」


「天使のミカエルです」


「え、えーと……」


 ーーラズ君とルズ君は驚いていないし、知っていたのかな?


「とりあえず、お茶を飲んでください!」


「僕たちが丁寧に育てた、ハーブを使ったお茶ですから」


「う、うん。いただきます」


 口に含むと、ふわぁっとミントの香りが広がる。


「美味しいです」


「良かったです〜」


 小さな二人は、とても喜んでいた。


「ミドさん、あなたは何故、ここに?」


「……お母さんが亡くなったんです……」


「っ⁉︎」


 ネビロスは驚いている。それに対して、ミカエルは知っていたような素振りで、けど、悲しそうにしていた。


「それはお気の毒に……」


「外に出られないんですか?」


「説明を受けたでしょう?ずっと、この檻に囚われ続けるって」


「……あなたも、覚醒者の子どもなんですか?」


「いいえ。僕らは負けた敵国の子どもです」


「え……?」


「フィル国はご存知で?」


「はい。名前だけは……」


「フィル国は、ステラ国との戦争に負けました。僕らも戦場に出ていて、国に捨てられたんです……Stone houseに所属している、ツクナさんという女性の方に救われたんです。ただ、敵国のこととあの事件で……」


 ラピスは、溜め息をついた。


「フミカさんという女性がある戦いで、亡くなってしまったんです。僕らがフミカさんを殺したのではないかと、疑われていまして……」


「そうだったんですか……」


 そう言うと、ラピスは驚いた顔をした。


「やべ!来る!」


「一旦、退きます!」


 ミカエルとネビロスは、一瞬にして、消えてしまった。


「杖よ!閉ざされた扉を開け!」


 リゼの声が聞こえると、教会のドアが勢いよく開いた。


「この勝手な行動は、上に報告します。もう二度とこのようなことがないように。さぁ、ミドさんはこちらへ」


「あ、はい」


 ミドはリゼの方に向かって、歩いて行く。

 振り返ると、軽く注意されたラピスはニコッとしてミドを見送ってくれた。


♢♦︎♢


「ったく、忘れてんのか」


「しょうがないですよ」


 ヒョイっと、ミカエルとネビロスが出てきた。


「みんなに隠され続け、何も知らないままが、幸せなのか」


「全部を知った方が幸せなのか」


「分からない(です)」


「ミドさんは、本当の自分自身のことさえ、

 覚えていません。それは悲しいと思います」


「まぁ、いつかは知ることになるさ」


「嫌でもね」


「そろそろ、別の仕事に戻ります」


「俺も地獄に戻るわ」


 ミカエルとネビロスは、また一瞬にして消えた。

 今度は姿を消したのではなく、それぞれの場所へ一旦、帰って行ったのだ。


「ラピス様……ミドさんも、僕達のことを嫌いになってしまったでしょうか?」


「ラズ、安心して。ミドさんは、僕らを信じてくれるさ」


「そうですよ。僕達が入れたお茶を飲んでくれる人なんですから」


 ルズは自慢気に言った。




『君の想いは、守るからね』


『これは、俺達の償いでもあるから』











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