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会話

 あまりにもあんまりな親衛隊の皆さんだったが、本人やその知り合いに害を与えることはしないようなのが解かって一安心……といきたいところだがあのレベルを見ると恐怖でしかない。


 何故なら妹がリコに特攻かましたせいで、自然な流れで妹は一緒にテーブルについている。そして妹は俺にべったり。導き出される結論は周りから針のような本当にささる視線だった。


「ところでリコちゃんはどうしてここにいるの? 審判さんの使いって聞いたんだけどリコちゃんそんな柄じゃないよね」


 妹がリコに聞いているが、確かにこんなに信者を連れまわしているのにこれで使いです! とか言われてもそんな大勢で来るんだったら信者何人か派遣しろよと思わないでもない。


「失礼な。私だってたまにはこういう事もしますよ。様々な街を巡り歩き、小さな町にも顔をだし、信仰なく迷える皆さんを導くのが私の使命なんです」


 助かるところは俺が会話に加わらず、妹の付き添いにいるだけということがちゃんとわかって貰えている点につきる。正直俺にのみ殺気を向ける技術があるようで妹すら気づかない。


 ……いや、妹が若干殺気立ってるような気がするから気づかないふりして周りの人の顔覚えている可能性があるな。


「で、本音は?」


「グミンを集めるのに審判の舞台は丁度いい」


「ですよねー」


 あはははと二人は楽しそうに笑うがこいつら怖いんだが?


「それでエミとお兄さんは二人で旅してるの? ついに結ばれた?」


「うん!」


「うんじゃないだろうんじゃ。いや旅してるのは本当だけど結ばれてないわ」


 あまりにも後半についてのほうがうんだよ! と全身でアピールして返事をした妹に突っ込みを入れる。


「へー、お兄さんのほうはレベルがどうのとかって話を聞いてたけどどうなったの?」


「あれ? リコちゃんが人に興味を持つって珍しいね? 雨降らそうか?」


 妹から目の輝きが失われ手をぱきぱきを鳴らし始める。ファルネなんかはこんな状態の妹にめちゃくちゃ怯えていたがリコは何もなかったように話を続ける。


「ほら、エミの事誘った時そんな事言ってたじゃん。お兄ちゃんと一緒じゃないと絶対にどこにも行かないって。強制するなら全身の骨だけ抜き取るぞとか脅しを聞いてたから」


 何その脅し。え、出来るの?


(俺でも難しいが、エミちゃんならもしかして出来るかもしれないな)


 マキの言う通り俺もそう思う。といくらいには妹の人間離れした技とか師匠の謎の教えに影響されている。


「あぁ、そういえばあったねそんな事。そういえば一緒に行こうって誘われてたね私」


「そうだよ、せっかく私の次くらいに可愛いし、すっごく強いから用心棒兼デュエットしながら旅しようって思ったのに」


 リコは俺たちの町に来た時に既にマネージャー(雑用)と腕の立つ用心棒(親衛隊1号2号)と4人でパーティを組んでいた。


 しかし何故か妹の強さなどに興味を持ち引き抜きをしようとしていたらしい。俺も知らんかったわ。


「私にはお兄ちゃんが必要だからねっ!」


「変わらないね、私にもそんな人がいれば良いんだけどね」


「お兄ちゃん程かっこいい人はいないよ。でもちょっかいかけたらあの時みたいにするから」


「いやいやほんと誤解だから。私に全然興味持たない人っていなかったら声かけただけで」


「私にとってそれは誤解じゃあないんだよリコちゃん」


 どうやら俺とリコが会話したことがあるのを妹は知っていたようだ。というかどこから見てたんだ。いやもしかしたらグミンの連中が俺に寄ってたかってたからそれで知ったのかもしれない。


「あの時は本当に死んだと思ったなぁ。おかげで仲良くなれたけど」


「そうだね。本当に殺す気じゃなかったとはいえ動けなくするくらいにはするつもりだったからね。師匠が来なきゃあのパーティは全滅だったね」


「え、エミの師匠見たことあるの!?」


「ん? あるけど……?」


 なんてこった、四六時中一緒にいる俺が見たことないのにリコは見た事あるのか。妹の口からは何故か情報を出してくれないからここで聞くだけ聞いておきたい。


「どんな」


「リコちゃん」


「はい」


 俺が聞こうとした瞬間に妹がリコを止める。なんでだよ。


「ごめんねお兄ちゃん。師匠に口止めされてるの。たぶんここでリコちゃんが口を割ったらここにいる人みんな死んじゃう。師匠はどこにでもいると思って聞いてほしい。師匠は正体がばれたくないらしいの、だからリコちゃんが生きてるのはほとんど奇跡みたいなものなの」


 謎が深まるばかりなんだが。


「奇跡と言われても、記憶消されてるからね私。会ったことがあるという認識しか残ってないからね?」


「うん、だから奇跡なの。普通はみんなの記憶からリコちゃんの記憶を消すんだけど、今回はリコちゃんの記憶を消すだけで済んだんだよ」


「え、その話初耳なんだけど」


 リコは妹の話を聞いて冷や汗を流している。


「私も師匠が来たから記憶抹消しに来たかぁって思ってたんだけど私に抵抗している人間は珍しいからいいやって言ってた」


 あれ、その口ぶりだと結構やってる感じがするんだけど?


「普通は抵抗するもんじゃないの?」


「んーん、普通は抵抗できないよ。そういう風にしてるから私もちょっと驚いたかな」


 俺はどんなことが起きてるのか想像するだけで怖いよ。


 というか街から街へ旅している4人パーティを全滅させられるってどんなだよ。


「お兄ちゃん」


「ん?」


「師匠についてはきっとそのうちわかるからそれまで我慢しててね。それ以外ならベッドの上でも我慢しなくていいからね」


「師匠の件については俺も聞くの怖くなってきたからそのうちわかるならそれでいいよ。それ以外は我慢とか以前に何もしないから」


「もー照れなくてもいいんだよお兄ちゃん」


 何故か上目遣いで顔を赤くする妹のせいで周りからのささる視線がなんかヤバイ視線に変わってきている。リコはわかっているためかそしらぬ顔だが。


「あんまり激しくしてベッド壊さないようにね」


 全然わかってなかったわ。

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