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木刀の使い方

やたらとアクセス数が伸びている!? 何故かわからないけど読んでくださりありがとうございます!!

(……ちょっと体借りるぞ)


 唐突にマキが体の主導権を持っていく。急に体が入れ替わる感覚にもだいぶ慣れてきた。


「ふむ。こう、か?」


「ん? 何やご主人入れ替わったん?」


 魔を感じ取れる連中は俺とマキが入れ替わったのに気付けるようだ。ファルネも雰囲気が違うとか言っていたから鋭い人にも違和感を与えるかもしれない。魔法とかの研究が進んでる街に寄ることがあったら気をつけなきゃだめかもしれない。


 そんな事を考えているとマキは木刀を右手で握って左手をかざすようにする。何をするのかと思ったら木刀を収める時に使った呪文みたいなのを口走る。瞬間、木刀から魔がマキに移っていく。


(なんだそれ?)


「木に溜まった魔を吸収できるか試したが出来るな。かなり集中しなきゃ難しいがこれは便利だな」


「流石ご主人やな。物体から魔を吸い上げるなんて中々出来んで」


「マキさんそんな事も出来るんですか」


「原理はファルネから吸い取った時と同じだな。この木刀はこんなんだが生きてるし、暴走を抑える方法の応用で何とかなった」


 妹が私から吸ってもいいよと言ってこないのはマキが体を使っているからだろう。もし出来ると言われても俺はやり方覚えなくていいなうん。


「ほえー、マキさん凄いね。お兄ちゃんとマキさんが協力すれば魔物を跡形もなく倒せるね」


「跡形も無くすと食料問題が発生しそうだがな。要は魔を持っている魔物を吸わせれば良いんだから部位を切り取ってそれからやれば良いのかもしれないが」


「それはあかんかもなぁ」


 マキと妹が魔物狩り行くか! となりそうな所をストラが静止をかけ逆に問いかけてくる。


「ていうかご主人、寄生樹から魔奪ってなんともないん?」


「なんともないが、何かまずいのか?」


 マキが平然と答えるとストラは少し考えるようなそぶりをしてから言った。


「まずいなんてもんじゃないねん。なんでうちがその使い方ご主人に教えなかったと思ってるんや」


「鳥頭だから忘れてたんだろ?」


「辛辣!! ご主人のそういうとこ大好きやでほんま」


「大好きだからって抱きつくのはNGだからね? 私の目が黒いうちは敵対行動とみなすからね?」


「なんやの妹ちゃん。兄妹でそういうのはあかんって魔物のうちでも知っとるで? あんた無知にも程があるわ」


 ストラの言葉を聞いて心底驚いたような顔をする妹。


「ストラこそ知らないの? 常識の中には例外があるんだよ? 獣人なのに爪での攻撃しなかったり、ドラゴンなのに大人しく誰かに従って行動するのも例外だよね? お兄ちゃんとマキさんの関係だってそう。一つの体なのに二つの魂が入ってるんだよ? それなのになんで兄妹に例外がないなんて思うの? 決めつけがいけない事だって言うのは誰だって知ってるよ? ねえどうなの? ねぇねぇ!」


「……たし……かに」


「おーい納得するなー」


 ストラと妹があらぬ方向に理論を展開し始めたあげく謎理論によって納得させられそうなストラが完全にアホの子に見えてきた。もともとだいぶアホの子っぽかったが。


「エミちゃんのその話は後でストラと繰り広げてもらうとして、木刀の使い方がなんだって?」


 脱線すると中々戻って来なさそうなので強制的に話を戻しにかかる。

 

「せや、兄妹間の恋愛はどうでもよくはないけど今はええねん。その絡みつく状態……吸収って呼ぶわ。吸収ってのはな、獲物を探してる状態やねん」


「さっき暴走って言ってたな」


「そうや。言ってしまえば封印解けてるねん。ご主人が押さえて……ってちょっと待ってな。確認やねんけど、ほんまに人間の方のご主人が使ったん?」


「そうだな。俺じゃない」


「あーそうなると暴走じゃないんかなー。どうなんやろな」


 またもストラは考え込んでしまう。呪いの時の信用の無さから状況を全部聞いたほうが早そうなので全部説明させる。


「あんな、そもそもそれご主人用やねん」


 ストラが言うにはこの木刀はマキ以外は扱えないようになっているらしい。多少触るくらいなら問題ないが、もし使おうとすれば魔を吸収され下手すると死ぬかさっきみたいに体丸ごと吸収されるらしい。


 ストラは、マキが寄生樹を封印状態にしてれば暴走は無いと思ってその木刀を作ったらしい。魔を帯びた木刀は普通の刀よりも殺傷能力も高く、ものすごく頑丈だ。折れたとしても地面に突き刺して少し魔を吸収させれば元に戻るというのも利点だった。


 だから本来マキが使えば吸収が発動することなく、ただの木刀として使われるはずだった。


「なんだ簡単だろそんなの。俺の魔が残ってる体だから襲われなくて、武器として使った時触ってた相手が襲われたっていう事だろ」


「え、めちゃくちゃ危なくないですか!?」


 ファルネがかなりビビってるが俺もぞっとする話だった。思わず使ってしまったけどもしこの木刀で誰かに敵意を向けて触れようものならその人死ぬって事だろ? なんだそのインチキ武器は。


「んや、そこまで危なくもなさそうだな。そもそも敵意を向けてくる相手にしか魔を吸収しないように魔法かけてる」


「え、ご主人、うちは武器として使えるような形にする魔法しか教えてないんやけど……」


「すまん、その魔法解析してちょっといじった」


「なんやて……ドラゴンしか使えんはずの魔法をいじるとかそんなんありなん? リンクが繋がってたから出来た芸当だったはずやけど」


「魔法に関しちゃ色々と出来る事が多くてなぁ。まあそんな感じだから気にすんな」


 いとも簡単に言ってのけるが、人の組んだ魔法、それもドラゴンだけが使っていた魔法をいじるとか……魔王っていうのは流石だな。流石で片付けて良いのかはわからないけど。


「それで何がまずかったんだ?」


「そこまでやってるならもう気にならないんやけど、寄生樹は魔を奪われると生存本能で周り無差別に襲うねん。ご主人の周りにも危険かなー思て寄生樹に魔をためる方法教えなかったんや。溜めたら取り出したくなるやろ?」


 寄生樹を収める時に結構難儀したようで、その時の経験らしい。


「だからご主人がさっき魔を吸収した時かなりひやっとしたわ。びっくりさせんといてなもう」


「次からは多少気を付ける」


 結果的に、暴走状態になったとしても俺が触っているか、離れたとしてもマキが対処すれば大丈夫らしい。マキが使えば吸収は出来ないみたいだが、武器としては充分すぎる威力になるとのこと。


 俺が使う場合は、敵に斬りつけたり刺したりすれば吸収は発動するらしいが、体丸ごと持っていくにはかなりの致命傷、貫通するくらい刺したりしないとだめらしい。


(となるともしかしてこの危ない使い方をこれからもしようってんじゃ……?)


「そうだな?」


(こえー……)


 新しい能力と武器を手に入れたが、あまりにも強すぎて大丈夫なんだろうかと不安になって来た。


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