表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/89

「は?」


 俺は思わず疑問の声を出した。確かにドラゴンなのだからストラの魔が高い事はなんとなくわかる。だがそれが一体どういう事なのだろうか。


(お前さ、なんだかんだで魔物食べてないよな。魔がしみ込んでいた水を多少飲むよりもその辺の魔物食べたほうがよっぽど効率的に魔をためられるぞ。保存してた魔物の肉はもう魔がほとんど残ってないし)


 マキの言う通り、保存している魔物の肉はまだあるのだがどうやら魔がどんどんなくなっているらしい。魔が無くなった魔物の肉は見た目は何も変わらないが味が多少落ちる。


 ボックスに保管しているおかげで鮮度は変わらないはずだが、実際問題として味に変化があるようだ。と言ってもそれを感じているのは俺達だけで妹は変化を感じないらしい。


 これももしかしたらマキの影響なのかもしれないがわからないので考えない事にしよう。


(それに俺の自我が出てからは弱い魔物しか食べてないだろ? ここらで景気づけに最強のドラゴンさんの肉を食べてみようじゃないか。ドラゴンミートなんて人間の世界で言ったら最上級の肉だぞ?)


 ……まじでか。いや確かに最上級の肉だし相当魔が濃いだろうというのもわかる。魔物を食べないのが普通の生活してる人でもドラゴンミートという食材があるのくらいは知っている。


 一説では不老長寿に役立つとか、身体能力が向上するとか言われているが実際のところはわからない。何故なら食べたという人物がそれこそ伝説みたいな人物だからだ。そんな人たちが食べた所で元からだろと突っ込みが入って終わりである。


 そしてそもそもの問題として、ドラゴン自体がかなり稀少であり発見個体がほぼいないというのもある。多くいたとしても、マキの話では人間に化けられるからそれを見つける事も至難の技だろう。


「なんや人の顔じっとみて。……ああ確かに人間で言うとかなり美形かもしれんな。だがご主人以外に操は捧げんで?」


「お兄ちゃんの初めては私がもらうよ?」


 マキの言葉をきいてストラを見過ぎていたようだ。というかこの二人相性良いのか悪いのか、ガンの飛ばし合いが激しすぎる。また啖呵切って今にも取っ組み合いの喧嘩を始めそうである。


「まあ二人とも落ち着け。うんまあなんというかマキからのお願いなんだが」


「なんや? ご主人のお願いなら何でも聞いたるよ」


 俺が口ごもっているとストラは身を乗り出して寄ってくる。

 ファルネには負けるとはいえ、ストラもワンピースタイプの服で結構薄着に見える。動きやすいようになのか、丈もそんな長くないためさっきから足の露出が気になってはいた。それが前のめりなのだ、何かが見えそうなのは言うまでもなく。


「いたぁ! なにすんねん! やるか!?」


「お兄ちゃんを誘惑すると本気で殺す」


「お、おう……」


 俺がドキドキしていたら妹がストラの髪を引っ張り喧嘩を売り始める。前のめりの状態ではなくなりちょっと残念な気持ちだが妹の怒気が凄まじい。俺がドキドキしていたら妹は怒気怒気するのかもしれない。

 そんな妹にストラの返事も若干びびっていた。ドラゴンびびらすってどんだけだよ。


「それで、マキさんのお願いってなんなんですにゃ?」


 一触即発! という空気にファルネは慌てたのか話を戻してくれる。うん、本当にありがとう。でも口にするのは若干ためらわれる。

 俺が迷っているとふと体の感覚が消失する。マキが問答無用で体の主導権を乗っ取ったのだ。そしてストレートに宣言する。


「ストラ、お前を食べたい」


「……えええ、ええで! じゅじゅじゅ準備は出来とるし!?」


「さて、と……」


 マキの発言により洞穴内の空気が一変する。ストラは真っ赤になりながらわたわたしているから気づかないのかスルーしているのか、妹の殺気がやばい。表情は無くなりさっきの大技ぶっぱなす直前みたいな空気を出しながら準備運動している。

 ファルネはまさに動物のような動きで瞬時に洞穴の入り口付近まで逃げていた。

 

(おいマキまずいだろこれ!? おもにエミが危険なんだが!?)


「じゃあ先にエミちゃん大人しくさせれば良いんだな?」


 そういうとマキはおもむろに妹に近づき、無表情な顔を持ち上げ唇を奪おうと……。


「まてまてまてまてー!! あっぶねーマキお前何しようとしてんだ!?」


 間一髪のところで体の主導権を奪い返す。あとほんの一秒でも遅れていたら間違いなく行為に及んでいただろうタイミングだった。


(エミちゃん大人しくさせるなら一番効果的な方法だと思ったんだが……)


「そういう問題じゃねー!」


 事情を知らない人が見ると俺が一人芝居しているように見えるだろうが、ここにいるのはみんな知っているので問題はない。


 妹は無表情のままだったが、ふと我に返ったのか上目遣いで覗き込んできた。


「お兄ちゃん? 私がマキさんにキスされそうだったから嫉妬しちゃった?」


「お前独自解釈すごいな!?」


「じゃあなんで止めたのかなー? 私を黙らせるには一番の方法だったと思うんだけどなー。あ、もしかして自分でしたかったとか!? いいよ、んー」


 唇を突き出してきたのでおでこにチョップをかます。あうっと悲鳴を出してその場に蹲っていたが知らん。


「ストラを食べたいって言ったがお前らの考えてるような事じゃねえよ……。それに今言ったのはマキだよ」


「でも事実なんだよね?」


 妹が立ち上がりまた無表情になる。


「だーもう後でなんでもしてやるからおちつ」


「よっし言質とったやったああああ!! ありがとうマキさん!!」


 なん……だと……。


「ちょっとまて言質取ったってお前ちょっとまて」


「待ちません。お兄ちゃんがなんでもしてくれるって言ってくれたああああ! ひゃっはー!」


 妹は有頂天になり入口付近のファルネを巻き添えにしてぐるぐる回り始める。


「ええとマキさんどういう事でしょう」


(俺は助言をしただけだ。俺がエミちゃんに何かしようとしたらたぶん体が入れ替わるから、その時なら言質取れるかもなってな)


 なにしてくれとんねん。いかんストラの口調が移った。


 マキが言うには昨日の晩、妹を縛り上げて俺は完全に油断しきって寝ていたがどうやら一度縄抜けしていたらしい。それで何かしようとしたところをマキが止めた。


 事はそれで全部済めば良かったんだがそうもいかず、妹はマキに相談したらしい。お兄ちゃんに色々な事がしたいけどなかなか好きにさせてもらえないと。


 俺はアホかと思ったがマキは真面目に聞いていたらしく、言質を取ってみたらどうだと助言しいつでもサポートしてやると約束した。だから今は大人しくして置いたほうがいいだろうという事で縄を縛り直してそのまま寝て次の日を迎えたらしい。


 そしてさっきの作戦を用いて俺を油断させ言質を取ることに成功したと……。


 俺の体に手を出させなかった事は素直に感謝するが正直。


「くだらねぇ密談してんじゃねぇ!?」


 とはいえ言質を取られたわけで、とてもとても嫌な予感しかしない。

好き放題書いてたら書こうと思ってた部分が無くなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ