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作戦

「エミももうちょっと大人しくなればいいのにな……」


 尋常じゃないアピールのせいで、なんかこう色々と勿体ない。


(あれが良い所でもあると俺は思うがね。あの勢いが無くなったら魅力半減……するような感じでもないな)


 なんだかんだでスペックの高い妹ではある。俺たちの町スタードで、よくパーティに誘われていたのはただ単に強さだけではないだろう。


 強さが知れ渡っているのは、私に勝てたらパーティに入ってあげるとか言っていたとかいないとか噂で聞いた。


 それが本当ならダメ元で挑んだ人数も数知れないだろう。一緒に旅をする以上、大人しい子よりも、元気な子のほうが好きだという男性が多いようだった。


「何にせよマキがいて助かったよ。ありがとう。ってエミの話はもういいだろう、夜までみんなと作戦練るんだろう? 体代わろう」


(個人的にはもっとエミちゃんの事をどう思ってるか聞きだして、からかうのも全然ありなんだが)


「俺がよくねぇ! それに待たせてるし戻ろうぜ!?」


(ほんと素直じゃないよな)


 素直じゃないと言われるのは不本意だが、言いくるめるのも面倒なのでそういう事にしておこう。


 マキと体を代わりみんなの所に戻る。ただマキにお礼を言おうと思っただけなのに結構時間が経ってしまった。


 周りに魔物の気配もないし、この辺りは安全だろう。


「おかえりなさいですにゃ」


「お兄ちゃ……戻ったんだね、おかえり」


「二人ともただいま。エミ、だいぶ良くなったみたいだな」


 戻ってみると、妹は顔色も良くなっていてストレッチをしていた。体の調子も問題なさそうだ。


「それなら早速だが、ドラゴンについての対処を考えようと思う」


 本当は懐柔できるはずだっただけに、みんな真剣な顔で話し合いを始める。


「どうやらドラゴンはかなり警戒態勢を取っているようだ。何があったのかはわからんが、力づくでどうにかするしかない」


「ちょっと待って欲しいですにゃ」


 マキが話を始めた直後、ファルネが話に割って入ってきた。


「トモキさん、そもそもドラゴンさんを倒す必要ってあるんですにゃ?」


 ……。言われてみればドラゴンは倒す必要はないんじゃないだろうか。


「くくく、何もわかってないな。奴の言葉を聞いていたか?」


「言葉……? でてけ、とか宝を、とか……。え、まさか」


「そのまさか、さ。と言っても奪うのが目的じゃない。交渉に使うのさ」


 何だろう、いまいちピンとこないがマキにはどんな考えがあるのだろうか。


「あのドラゴン、フォレストドラゴンというんだが、あいつがあそこまで我を失うっていうのはかなり珍しい。そして手負いだったことを考えると、たぶん宝をいくつか盗まれているな」


「その宝を取り返して、交渉に使うって事……?」


 妹は恐る恐る発言しているが、俺もかなり恐ろしい事のように感じる。


 今の状態でも手負いなのに、そのドラゴンを手負いにした相手と戦うという事なのだから。


「そうだ、だがこっちも予定内と言えば予定内だ。どっちにしろ宝を奪い返す予定だったしな」


「そういえば、戦闘面でどうとか言ってたけど、それのこと?」


 マキはここに来る前に、ドラゴンが人を襲った理由の奴と戦うと言っていたが、実物を目にすると勝てるとはとても思えない。


 ましてやドラゴンを手負いにする相手となると、逃げた俺達が相手できるのか?


「よし、じゃあ順番どおりに説明していこう」


 そういうとマキは今回の出来事について、予想を語り始めた。


 まずドラゴンが町を襲った事については、宝を盗まれたドラゴンが仕方なく手を貸した、もしくは操られていた、というようなものだった。


 しかし、ドラゴンに言う事を聞かせるようにするアイテムはもうほとんど残っていないだろうし、様子を見た限りでは使われていないということだった。


 じゃあどうやって宝が盗まれたのか。


「俺たちのように夜、奇襲をかければ成功しないこともない。例えば、強制的に人間に変身させるアイテムを使って弱体化させる、とかな」


 ドラゴンは人間型になっていると、結構な弱体化をするらしい。七割程度くらいの能力値になり、状態異常にかかりやすくなるみたいだ。といっても人間に比べれば相当な速さで回復するが。


 強制的に人間型にして、一時的に動きを封じれば多少なら隙を作れるらしい。ドラゴンにもちょっとした弱点があるようで、なんだか伝説と聞いていただけに若干拍子抜けな感じがある。


「でもそれって、町が襲われた時の、かなり前の話なんじゃないの?」


「それだ、今回気になっていたのは。ドラゴンの回復力をもってすれば腕がちぎれようが一日もかからず再生する。それが何故回復していなかったか」


 俺たちの前に誰かと戦っていた、という事だろうか。でも、なんのために?


「俺が見た所あのドラゴンは回復しない呪いを受けている。その状態を見たからこそ、今回戦うべき敵に核心を持てた。奴なら近接戦闘で負ける事はまずないだろう」


 奴、マキが知っている相手だということか。しかも戦い方まで知ってるとなると魔界の魔物なのだろうか。


「じゃあ、その相手がここに来るのを待つって事? 来るの?」


 そう、もし敵が想定した相手だとしても、都合よく俺たちの前に出てきてくれるだろうか。


「フォレストドラゴンは、森の中にいればどんな呪いだろうと回復する。つまりだ、ドラゴンに継続的に呪いをかけているはずだ。そこを狙う。上手くすればドラゴンに恩が売れて、全部解決万々歳だ」



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