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次の目的地

 その後俺たちは世界地図を見て、次の拠点に出来そうな町に行くことにした。エルフの森に行くとしても、すぐ行ける保証はないから拠点は決めておけとマキが言ったからだ。


「そもそもエルフの森の場所がわかればその近くにするんだけどな」


(俺の力を使うには相応の魔が必要だ。だがこのあたりではあまりにも魔が無さすぎる。エルフの森は一見普通の森に見えるが地図には当然書いてないし移動してる可能性もある。探知魔法でも使わなければ場所がわからん)


 マキがエルフの住処を作った時はまだ世界地図は完成していなかったらしい。だから地図を見てもいまいちわかりづらいとの事だった。ならば魔法を使ってみようとなったが、その辺りにいる魔物では魔が足りないとの事で時間をかけようという事になった。


 ついでに最初の勇者が辿ったと言われる町にしようということで、次に向かう町はラメル。水が綺麗な所だとマキは言っていた。


「というか魔王なのに良く勇者の辿った道とか知ってるな」


(元な。魔王ってのは聖なる力に敏感でな、人間界に強すぎる力を持っている奴がいると警戒するんだ。普通はのたれ死んだりするから警戒で終わるがたまに魔界まで来ることがある。だから辿った道を知ってるのさ)


 色んな勇者はその道を辿る事が多いのなら、その分場所もわかりやすいって事か。それにマキと戦った勇者パーティもその道を辿ったと言っていたから詳しいんだろう。マキがあまりにも情報通だから町に行っても集める情報が少なくなりそうだな。


 時間をかけて魔を集めるにしてもいの辺りには強い魔物がいるのだろうか。


「お兄ちゃんまたマキさんと話してるの? 私一人で寂しいんだよ?」


 そういえば俺がマキと話してるときは一人言みたいになるのか。はたから見れば妹と話してるように見えるが実際は自分と話してるとかある意味病気以外の何物でもないな。


「すまないな、今夜はサービスしてやるから」


「え!? お兄ちゃん!? き、期待しちゃうよ?」


 たしかに妹には寂しい思いをさせたかもしれないからサービスをってちょっとまて。


 気づいたら意識はそのままだが体を動かそうにもピクリとも動かなくなっていた。


(っておいマキなに勝手にしゃべってんだよ! 自然に俺の体使うな!?)


 どうやら考え事をしている間に体を持ってかれたらしい。グルゴの時もそうだったが体の支配権はかなり曖昧らしい。


 しかし簡単に体持ってかれるとかなりびっくりするな。


「というのは冗談で俺がマキだ。初めまして、でいいかなエミちゃん」


「は、初めまして! お兄ちゃんの夜の妹のエミです。でもでもお兄ちゃんにしてもらうのもありかなって……」


 夜の妹ってなんだよまじで。テンパってるのかまじなのか怪しい所が救いようがない。


「ほんと兄以外には弱いんだなエミちゃんは。まあいいやこれからよろしくな」


 そういってマキは手を差し出す。俺の体だから違和感があるが仲間になるのだから握手くらいは普通にするだろう。


 魔物でも魔王ともなれば人間の作法というのを知っているのにはちょっと関心する。


「ふつつか者ですがよろしくお願いします」


 いちいち発言の重さを披露してくれる妹だが俺の体だから警戒心を相当解いているんだろう。初めて会った人にこんなに普通に接しているのは珍しい。この状態を普通と言っていいのかはわからないが。


「うん、やっぱ面白いなエミちゃんは」


 マキもなんだかんだ言いつつも妹を好意的に見てくれているので兄としては安心する思いだ。マキと妹の仲が悪かったらそれはそれで胃に穴があくだろう。


「あの、マキさん。一つ聞きたいことがあるんですけど」


「畏まらなくていいよ、周りから見ても変に見られるし兄に対する話し方で頼むよ」


 それは確かにそうだろう。俺がマキと話すと変な風に見られるように、妹がマキと話す時に畏まっていると変に映るだろう。俺と話している時の妹を知っていればなおさらだ。


「わ、わかりま、わかった」


「よろしい。それで聞きたい事っていうのは?」


 まだちょと固いけどまあ最初だし妥協できる感じかなといったところか。そのうち慣れてくるだろう。


「ええと、お兄ちゃんが寝てる時とかって体使えるの?」


「……」


(……)


 結構、核心的な事を聞いている気がする。もしも俺が意識を失った状態で体をマキが使ったらどうなるか。


(どうなんだ?)


 マキは少し考えていたが、何かを閃いたようににやりと笑った。俺の体でそれやられるとなんかすっごい悪い事してる気分になるな。


「くくく……当然できるぜ。夜のお兄ちゃんってところだな。協力してやろう」


「やっぱり! これでお兄ちゃんが寝てるかばっちり確認できる! ありがとう!」


(おいまてお前ら何人の体使って色々しようとしてるんだ。マキも何焚きつけてんだよ、ていうかエミの行動先読みしてアシストするのまじやめろ)


 仲が悪くても良くても胃に穴は空きそうである。


「というのは半分冗談としてだ、それでも簡単に目が覚めるだろう。寝てるときに何かの拍子に目が覚めるって事があるだろ? だからほどほどにしておけよ。他はにダメージ食らい過ぎて意識が飛んだ時とかはなんとかできるかもしれない程度だな」


 ほどほどどころか何もしないで欲しいんですがそれは出来ない相談なんでしょうか。


「大丈夫、お兄ちゃんの眠りが深いのは知ってるから! この前も……おっと」


 こいつ何をしてるんだまじで。いや細かく聞きたくもないが気になる事は気になる。聞いて無事で済むかは全く分からないがどうしてくれよう。


(なあマキ、エミが本当に俺の体に手を出しそうになったら止めてくれよ?)


「俺は約束は守る男だ。家族は大切にする気持ちを忘れない」


(エミの気持ちばっかりじゃなくてこっちも尊重して!? わかったわかった、教えてくれるだけでもいいから本当に頼むよ)


「善処しよう」


 これは完全に俺一人敵地にいる気分なんだが味方はいないのだろうか。


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