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プロローグ3 

妹登場

「お兄ちゃん城下町行くの!? おめでとう!」


「ああ、ありがとう」


 家に帰って報告をすると妹が自分のことのように喜んでくれた。

 妹はレベルが10を超えている拳闘家だったりする。


「じゃあお祝いにぎゅってしてあげるね!」


 やたらとスキンシップを取りたがる妹だが、今回は好きにさせておく。

 たまに怖いこと言ってきたりするが見ない振りをしておくことにする。


「うへへへ……お兄ちゃんの匂い……クンクン」


 極度のブラコンを患っていると言われている妹だが今回は好きにさせておく……。

 たまに怖い行動をとっていたりするが見ない振りをしておくことにする。


「お兄ちゃん……服ぬがすね?」


「おかあさんに言いつけるぞ」


「親公認の仲になるってこと!? さっすがお兄ちゃん! 結婚しよっ!」


「ふん!」


 ベッドにぶん投げる。見ない振りをするには流石に限界だった。


「そんな、いきなりベッドだなんて、もう! 積極的なんだから!!」


 なにやら布団でもぞもぞしているが放置して居間に行く。

 ああしておけば妹はおとなしくなる。布団がやたらと荒らされるが気にしたら負けである。


「というわけで来週城下町にいってくるよ、職業就けるかわからないけど一応できる限りのことはやってみるよ」


「ああ、がんばってこい」


 父と母は俺たちの成長に関しては特に口は出してこなかった。

 俺のレベルが全くあがらなくても何も言わず普通に接してくれていたし、妹もそうだった。


 妹は歳の割に成長が早く、レベルも二桁になっていた。

 ギルドに登録すればPTでも即戦力になるくらいの強さがあるが、誰に誘われても冒険に行こうとはしなかった。


 俺が冒険に出られるまではずっと鍛錬して一緒にPTを組むんだと学校に入った当初から言っていた。

 律儀に守っているうちにこの町ではかなりの強さになっていた。




「で、なんでお前がいるんだ」


「えへへぇ、デートだね!」


 城下町に出発する日、集まっている人の中に何故か妹の姿があった。


「そういえば、ウラノの妹だったか。暇だから城下町見学に行きたいんだってさ。レベル10超えてるなら城下町に行けば良いPTにめぐり合えるかもしれないしな。ついでに来ても問題ないだろ」


 護衛にもなるしな。教師はそういって妹の同行を認めた。妹がいれば無駄に絡まれることもないしまあいいかとあきらめることにする。


 装備は全員皮製の装備をしていた。この町では金属の鎧も売っているが、そこまで重装備でなくても充分なのと金属は高く重い。それに周辺のモンスターは皮装備でも問題なく戦える。


 俺たちの町から城下町まで行くには大体三時間程度かかる。安全な道を通っていくとはいえたまにはモンスターもでる。

 基本は教師二名が魔法で倒してしまうが戦える生徒もいるにはいるので怪我などはほぼない。全滅にいたっては考える必要すらない。


「先生暇だよ俺らにも戦わせてくれよ、まけねぇよこんなやつら」


「だめだ、何かあってからでは問題じゃすまない。ヒールできるとはいえ怪我はするんだぞ」


「へいへい、つまんねーの」


 シマダが文句を言っていたが教師は流石に生徒を無理に戦わせようとはしない。


「ほらそう言ってる間に……、む、ここらじゃあんまり見ないモンスターだな」


 コウモリ型の猫を混ぜたような獣が出てきた。たしかにここらで空を飛ぶモンスターは見かけたことがない。教師はあわてず撃破したが生徒に注意を呼びかける。


「今のはこの島には生息しないモンスターだ。最近島同士を橋やトンネルでつないでるという噂があったが……モンスターも流れてきてるのか。危険な事をする」


 町や村の発展のために近い島同士で外交をするというのはよく聞く。船でやり取りするよりもつなげたほうがより密なものを運べるということで工事が進められていたが、物以外も来ているようだ。


 普通なら守衛みたいな人がモンスター退治しているような気もするが……。


「あと一時間で城か……このまま行きたいところだが」


 半分も少し過ぎたところで引き返しても進んでもあんまり変わらないところではある。

 しかし城にいく途中でどうしても森を通らなければならない。教師が二人も護衛で来ているのはその森がそこそこ危険だったりするからだ。


「先生行こうぜ! 俺だって戦えるし引き返すよりも進んで城にいこうぜ!」

 

 シマダが先生を説得しているがどうなるか。個人的にはすごいフラグっぽいセリフに嫌な予感もしてたりする。


「お兄ちゃんどうしたの? 何かあるの?」


「嫌な予感がするなぁと思ってるだけだ」


「大丈夫だよ、何かあってもお兄ちゃんは私が守るから」


 妹のエミは俺の隣をずっと歩いている。人がいると恥ずかしいからか積極的に抱きついてきたりはしない。

 教師の二人が話し合っていたが結論が出たようだ。


「気になることもあるが、このままいこうと思う。余裕で日が落ちる前に着くが、少しペースを上げていくぞ」


 教師が生徒を守るように先頭と最後尾につく。隣の島のモンスターや少し強いモンスターが出てきたが森までは順調に進めた。


「タカギ先生……今日の森は危ないですよ」


「サカイ先生もそう思いますか……強い獣の気配がしますね……」


 この森を抜ければ城までは二十分といった所だが、森を抜けるにはがんばっても十分近くかかる。

 教師が強いというのだから一撃で倒せないのだろう。


「先生何してるんですか俺は先にいきますよ!」


「あ、おいまて!! 危険だ!!」


 シマダともう一人が森の中に入ってしまう。こうなればもう教師としては助けに行かなくてはならない。そして森の外に生徒を待たせておくのも危険となると……。


「仕方ない、みんな行くぞ」


 二人を追いかけて教師二人と妹を含めた生徒五人で森に向かう。ちなみに教師のレベルは25らしい、ステータスを見せてもらったことはないが魔法使いと騎士と言っていた。

 

 その二人ですら躊躇していたのは守りながら戦うのが辛いのか敵が本当に強いのかどっちなのか。


「うわあああああああああああ」


 シマダが叫びながらこっちに戻ってきた。森に入ってから一分とたっていない。

 そして戻ってきたのはシマダだけだった。


「おい! どうした何があった!」

 

 教師が話しかけるがシマダは怯えて動けないでいる。恐慌の状態異常だ。こうなったら時間経過か強壮剤で落ち着かせるしかないが、教師も回復薬は持ってきているが強壮剤は持っていないようだった。


「あっちで……でかいのに襲われて……俺一人で……」


「グオオオオオオォォォ!!」


 人とは似つかないおぞましい声がする。この声を出す化け物を正面から見たのか。想像するだけでもかなり怖い。


「お、お兄ちゃん」


 妹も怖いのか腕にしがみついてくる。ステータスは妹のほうが高くても、兄として妹を守ってやらなくてはならない。


「タカギ先生、先に行っててください。私はあのモンスターを食い止めておきます」


「サカイ先生……わかりました。深追いはしないでください。お前たち、一気にいくぞ!」


 教師一人がその場に残り、タカギは生徒達を引き連れて森を抜けようとする。


「くそ、モンスターが多い! 戦えるものは手伝ってくれ!!」


 さっきのモンスターの雄たけびの効果か、モンスターが凶暴化して襲い掛かってきた。


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