川の怪物
「けしからんゴリラ事件」から更に1週間経った頃のことです。智史君はまたあの山に1人で登っていました。そして化けガエルと、けしからんゴリラのことをゆっくり考えていました。今度は洞窟には入らず、頂上付近から流れている川を目指して歩いて行きます。
「化け蛙にしろ、けしからんゴリラにしろ、変な奴らばかりに襲われるなぁ。」
と思いながら歩いていると、いつのまにか川まで来ていました。
智史君が川を見ると鯉が3匹泳いでいましたが、なんだかその泳ぎ方が変でした。
と言うのは、何かに引き寄せられているような泳ぎ方をしていたのです。
しばらく見ているうちに、鯉は3匹とも穴のようなものに吸い込まれてしまいました。
智史君ははっとして急いで近くにあった石を拾い、穴に投げ込みました。
すると悲鳴のような声が聞こえて、ザバーッと2mほどのカッパが姿を現しました。鯉を吸い込んだ穴はカッパの口だったのです。そして智史君とカッパとの激しい戦いが始まりました。しかし流石にカッパは大きいので、智史君はまたも馬乗りにされそうになりました。
と、その時爆音がしてスポーツカー2000が走って来ました。そして近くで止まったかと思うと窓が開き、お兄さんが中から叫びました。
「君の名前を教えてくれい!」
「はい!僕の名前は、ジーニアス・プレ、あ、さとるしきみ または さとしくんと言います!」
智史君はそう叫ぶと、今にも のしかからんとする化けガッパの鳩尾を全力で蹴り上げて転かしました。そして川辺に転がっていた手頃な大きさの石を拾い上げ、なおも立ち上がらんとする化けガッパの頭部の皿めがけて渾身の力でもって打ち下ろしました。
グシャッ!
「グエーッ!」
皿は木っ端微塵に砕け散り、化けガッパはバッタリと倒れました。智史君はその化けガッパをサッと川へ放り込み、川下へと流されていくそのカッパに向かって叫びました。
「その川を下って行くと海に着くぞー!その海にはお前の仲間、化けガエルとけしからんゴリラがいるぞー!」