幕間:夢はまどろみのように
俺にとっての生きがいは夢を追いかけ続けること。すなわち主人公になろうとすることだ。夢を求めるには必ず理由があるものだけれども――――。
俺にとって。
今や夢こそが生きがいになった俺にとって。
主人公になるなんていう厨二病じみた夢が生きがいな俺にとって。
その追い求める理由はなんだっただろう。
いや、分かっている。ただそれを思い出そうとしていないだけで。
あぁ、そうか。
これは夢だ。だって俺は理由を、欲望の根源を忘れたことなどただの一度もない。
どんなに危機的な状況でも。
どんなに分が悪かろうが。
どんなに相手が強くても。
そんなのありえないと言っていいほど都合がよく――――。
すべてをハッピーエンドに持っていく主人公。
ヒーロー。
それだけのことにどれだけ憧れただろう。どんなに妬んだだろう。どんなほどそれを渇望しただろう。
だって俺はあの日。
導けるハッピーエンドを。
『バッドエンドに変えてしまったのだから』。
あぁ、そろそろ起きる。この何もかも忘れ、気楽でいられるまどろみから。
いつまでもここにいたい。
そう思っても無駄だ。まどろみは所詮まどろみ。現実があるから存在するのだ。
ゆっくりと。意識が浮上する。
このまま自然と目が覚めるだろう。そう思っている俺の意識はゆっくりではなく無理矢理引きずり出された。
≪バッシーン!!!!≫という爆発音と共に。
『主人公になりたい!!』幕間:夢はまどろみのように




