その出会いは 【月夜譚No.389】
掲載日:2026/02/15
真面目だと言われるのが嫌いだった。四角四面、融通が利かない、つまらない――そんなイメージを持たれていると思っていた。
「へえ、意外とそういうとこあるんだ」
振り返った先にいたクラスメイトにそう言われて、やっぱり、と心の中で呟く。
私は手の中の包み紙をくしゃりと握る。この学校は校則が厳しいと有名で、ゲームや漫画、お菓子なんかも学校に持ってくることは禁じられていた。
私だって、偶には校則を破りたくもなる。チョコレートを学校で食べたくなる気分の時くらいある。
私は黙ったまま席を立ち、放課後の教室を出ようとした。しかし、クラスメイトが咥えていた棒付きキャンディを顔の横に掲げて口を開く。
「んじゃあ、共犯だ」
「……え?」
視線を返した私に、彼女が悪戯っぽく笑う。
それが、彼女との最初の会話だった。その時の私は、まだ知らない。彼女との付き合いが想像以上に長いものになるなんて――。




