表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
第二章 三人の皇子との同居生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/154

二十八、知らぬ間に急展開

玲莉(リンリー)たちがいる部屋に春静(チュンジン)が慌ててやってきた。

「奥様、玲莉お嬢様、旦那様たちが帰って来られました」

「本当!」

玲莉はすぐさま会いに行こうとしたが、春静に止められてしまった。

「旦那様たちは今、客間で大事な話をされているようです。少しお待ちください」

玲莉はため息をつきながら、王浩(ワンハオ)たちの話が終わるのを待った。

王浩たちを待っている間に、景天(ジンティエン)蘭玲(ランリン)(ジャオ)に紹介していた。


景天は蘭玲と嬌に質問攻めにあっていた。今まで同年代の女と接することが少なかったため、景天はどう対応していいのかわからず、たじろいでいた。

玲莉はその様子を見ながら、面白がっていた。

「ちょっと玲莉、助けろよ」

景天は玲莉の腕をつかみ、助けを求めていた。玲莉は嫌ですと言いながら、笑っていた。

蘭玲と嬌は二人の仲よさそうな姿に玲莉が建明(ジェンミン)から景天に心変わりしたのではないかと考えていた。

その時、ちょうど部屋の戸が開いた。

そこには王浩が立っていた。王浩は見たことない男が玲莉の腕をつかみ、仲良さよさそうな姿を目にし、表情はみるみるうちに曇っていった。

「玲莉、その男は誰だ」

「あなた、そんな恐ろしい顔をしないでください。警戒しなくても大丈夫ですよ。玲莉の命の恩人ですよ」

明らかに景天を睨みつけるように見ていた王浩に思敏(スーミン)はなだめるように言った。

「そうだったのか。すまない。私は玲莉の父王浩だ。娘を助けてくれたのだな。礼を言う」

王浩の表情は緩やかになったが、それでもまだ景天を警戒しているようだった。

唐景天(タンジンティエン)です・・・その・・・玲莉を・・・お嬢様を・・・たまたま通りかて助けただけですので」

景天は玲莉から想像もできないほど、似ても似つかね恐ろしい顔つき父王浩に委縮していた。

「君が玲莉を助けてくれた方か。妹を助けてくれ感謝する。私は玲莉の兄勇毅(ヨンイー)、こっちが逸翰(イーハン)だ」

逸翰は玲莉に馴れ馴れしい景天に頭を下げながらも、不機嫌な顔をしていた。

景天は蘭玲と逸翰の顔がそっくりなので思わず二人を交互に見てしまった。

「これはこれはお久しぶりですね。唐景天さん」

後ろから顔を出したのは景天が会って話がしたいと思っていた劉翔宇(リウシャンユー)だった。

「お久しぶりです。劉翔宇・・・殿下」

先程まで王浩に怯えていた、景天だったが、劉翔宇を見た途端、獲物を狙うかのような表情に変わった。

「翔宇殿下、景天さんは殿下に聞きたいことがあるようです」

「そうでしょうね。私からもお話したいことがあります。王丞相、申し訳ありませんが、お部屋をお借りしてよろしいですか?」

「あぁ、構わん。春静、案内してやれ」

劉翔宇と景天は春静の後ろについていき、奥の部屋の方へと消えていった。


「玲莉、お前に話さなければならないことがある」

王浩はそう言って王家襲撃事件、玲莉誘拐事件の首謀者が北誠(ベイチェン)李誠明(リーチェンミン)だったこと、李誠明が逃亡していること、建明との婚姻が李義(リーイー)との婚姻になったこと、建明が李義の従者になったことについて話した。話す事柄があまりにも多すぎるため、水晶玉のことはあえて話さなかった。

一緒に王浩の話を聞いていた思敏、蘭玲、嬌は建明が何をしたのか大体の予想はついていた。

「父上、建明殿下はなぜ皇太子殿下の従者となったのですか」

建明を心配しているかのような質問を王浩にしていたが、玲莉は案外冷静だった。

「建明殿下・・・いや、今は殿下ではないな。建明は父の李誠明が首謀者と知りながら、陛下に黙っていたんだ。本来ならば、僻地に飛ばされるのだが、李誠明が逃亡している今、接触され、玲莉に近しい建明が李誠明に利用されたら、玲莉が危険な目に遭うかもしれない。それで、皇太子殿下の従者となったわけだ。建明を擁護するわけではないが、お前を他の皇子に取られたくない思いが強すぎて間違ったことをしてしまったのだ。それと、玲莉・・・お前は近々後宮入りする」

「・・・えっ?」

玲莉だけではなく、思敏たちも衝撃を受けていた。後宮入りの言葉が衝撃的すぎて、建明についての話がかき消されていた。

「あなたどういうこと?」

まさかの急展開に思敏も動揺していた。

「陛下の計らいだ。玲莉はどこにいても狙われるだろう。それならば、一層の事、今のうちから後宮入りさせ、皇太子妃としての教養を身につけさせようと考えているようだ。後宮ならばそう簡単には侵入できないだろう。それに玲莉には専属の護衛もつくはずだ。身の安全は保障される」

「あなた玲莉はまだ子供よ。後宮入りなんて・・・」

「思敏、私も玲莉を後宮入りさせたくない。しかし、陛下がお決めになられたことだ。異議を唱えることなどできぬ。陛下としても聖女である玲莉をそばに置いておきたいのだろう」

思敏は玲莉を抱きしめながら、泣いていた。

玲莉は話の展開に頭がついていけていなかった。

(後宮入り?皇太子妃?どういうこと?)

蘭玲も嬌も思敏同様涙を流して、玲莉に抱きついていた。当の本人、玲莉だけが自分の状況を理解できず驚いた表情のまま固まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ