十四、建明の告白
建明は皆の視線を集めていた。
「一つお聞きしたいのですが・・・そもそも建明殿下は・・・いつ玲莉が聖女だということを知ったのですか?」
「それは・・・玲莉から・・・」
建明はあることに気づいた。聖女だと知ったのは玲莉から聞いたのではないことを。
建明は震える手を抑えながら、必死にどう説明すべきか考えていた。
建明にはわかっていた。ここで嘘をついてしまうとますます状況が悪くなることを。
「王家の皆様は王丞相の口から直接聞いたことでしょう。玲莉の家族が知らない訳がありません。李義殿下は陛下から直接聞いているでしょう。私は玲莉の口から直接聞きました。玲莉の白髪、瞳の色は聖女の特徴なのでしょう。しかし、聖女に関する書物は後宮にさえ残されていません。そうですよね?李義殿下」
「たしかにそうですね。父上も知っていたのは伝承の一部くらいです」
「はじめに違和感を感じたのは玲莉が赤い瞳になった時です。李義殿下も王丞相も玲莉の瞳を見て一瞬驚いていました。そんな中、建明殿下だけは玲莉の瞳を見ても特に反応することなく、いつも通り接していました。建明殿下、あなたの父上から聖女に関する何かを聞いていたのではないですか?あなたはそれを聞いて、玲莉が聖女だと知っていたのではないですか?それで、玲莉の瞳の色が赤に変化していても反応しなかったのではないでしょうか。それと、王家襲撃はあなたも関わっていたのではないですか?」
建明は絶望した顔をしながらも、首を横に振り否定した。
しばらく、下を向いたまま、黙っていたが隠し通せないと思ったのか、大きく深呼吸をし、話しはじめた。
「私が玲莉が聖女だと知ったのは王家襲撃の後のことです。父上から呼び出されて、父上からある水晶玉を見せられました。その水晶玉は聖女が現れた時、光輝いたそうです。父上がどこから入手したのかは知りませんし、水晶玉と聖女がどう関係しているかはわかりません。一つだけわかることは玲莉の力が増すと水晶玉との・・・関係が強くなるというか結びつきが強くなるというか・・・まるで水晶玉と玲莉が一つになっているようにように感じるのです。水晶玉を覗くとおそらく玲莉が見ていると思われる景色が現れるのです」
「そんな馬鹿な・・・」
皆一様に建明の発言に驚いていた。
「父上はそれを利用して、翔宇殿下の隠れ家から玲莉をさらったのです」
逸翰はいつものように感情的になり、建明の胸ぐらをつかんで怒りを露わにしていた。
「なぜ、玲莉がさらわれるのを止めなかったのか!玲莉がどうなってもよかったのか!」
建明も逸翰に負けないぐらい声を張り上げ、反論した。
「そんなわけないじゃないですか!私は知らなかったのです。父上が玲莉を誘拐しおうとしていたことを。黄飛と春静の話を聞いて、父上が玲莉を誘拐したとわかったのです。父上を問い詰めると、お前のためにやったんだと言われたのです。その後・・・」
勇毅は逸翰を建明から引き離し、冷静になれと叱責した。
「建明殿下、北誠王に何を言われたのですか?」
建明は頭を抱え、声を震わせながら言った。
「玲莉にお前の子を孕ませろと・・・」
黙って聞いていた王浩もさすがに堪忍袋の緒が切れた。
「玲莉を・・・孕ませろだと・・・」
今にも斬りかかりそうな王浩を劉翔宇と勇毅で必死に止めた。
劉翔宇は王浩を抑えながら、建明に尋ねた。
「建明殿下、なぜ反抗しなかったのですか?陛下に訴えれば済んだ話ではないですか?」
建明は再び下を向き、思いつめた表情をしていた。
「私は王丞相に斬られては文句は言えません」
その言葉を聞いた王浩は本当に斬りかかりそうだった。
建明は床に頭を擦りながら、ついに王家襲撃の真相を話した。
「王丞相、私は玲莉が他の男のことを見ないようにするため、わざと玲莉を襲うよう人を雇いました」
衝撃的な発言に皆固まってしまった。




