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転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
第一章 三人の皇子との出会い

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二十二、李義VS劉翔宇

劉翔宇(リウシャンユー)玲莉(リンリー)を力強く抱きしめており、玲莉は離れることができなかった。

「いいから、玲莉を離せ」

李義(リーイー)の目は、今にも劉翔宇を殺しそうな目をしていた。

周りの町民たちも一人の娘を取り合っている姿に、二人を煽るような歓声を上げはじめた。

(いや、楚の皇太子と魏の皇太子がここで争ってはだめでしょう。何とか止めなければ)

「翔宇殿下、明日は・・・そうだ、殿下のところへ行きますので、今日は解放していただけますか?」

玲莉は劉翔宇だけに聞こえる声で伝えた。

行くつもりはなかったが、その場をしのぐために適当に言ってみた。

(私は何てことを言ったのだろう。皇太子殿下にバレたら、また面倒くさいことになるじゃない)

劉翔宇はうれしそうな顔をしていた。玲莉の顔は引きつっていた。

「約束だぞ」

劉翔宇は玲莉を解放した。

李義はすぐさま玲莉の手を引っ張り、背中に隠した。

「今日のところは玲莉を譲ります。楽しんでください。しかし・・・」

劉翔宇は李義との距離を一気に縮め、耳元で囁いた。

「玲莉に何かしたら、許しませんよ」

あの冷徹皇子と言われている李義でさえ、圧を感じる声色に身震いしてしまった。

「玲莉、では明日」

劉翔宇は玲莉にウインクをし、黄飛(ホアンフェイ)と去っていた。

町民たちはもう終わったのかとつまらなそうにばらけて行った。


「玲莉、あの皇太子に何を言ったのですか?」

「その・・・この場を鎮めるために、明日会いますと・・・」

李義は冷たい視線を玲莉に送っていた。

「申し訳ありません」

(あれ?なぜ私は皇太子殿下に謝っているのだろう。そもそも皇太子殿下は私の許嫁でもないのに)

「劉翔宇には玲莉がすでに私のものであることを知らせないといけませんね」

李義はものすごく悪い顔をしながらも、笑みをこぼしていた。

白庭(バイティン)、馬を一頭連れて来てくれ。その後、春静(チュンジン)を連れて先に馬車に行け。急げ」

玲莉は嫌な予感しかしていなかった。

李義は白庭が馬を連れてきたのを確認し、大声で叫んだ。

「劉翔宇ー!」

まだそこまで遠くに行っていなかった劉翔宇が振り向いた。

その瞬間、李義は劉翔宇に向かって笑みを浮かべながら、玲莉の腰を引き寄せ、強引に口づけをした。

玲莉が横目で劉翔宇を見ると、明らかに怒りに満ちているようだった。

李義は玲莉から唇を離すと、玲莉を抱きかかえ、劉翔宇に向かって誇らしげな顔をしていた。

案の定、劉翔宇は全速力で向かってきた。

李義は玲莉を抱えたまま走りだし、白庭が用意した馬に玲莉を乗せ、自分も乗り、駆けだした。

さすがの劉翔宇でも馬には追いつくことはできなかった。

「李義ー!」

劉翔宇の手は血が出るほど強く握りしめていた。




「皇太子殿下、なぜあんなことをしたのですか?挑発してよかったのですか?」

玲莉は振り落とされないよう必死に李義につかまっていた。

「玲莉が私のものであることをはっきりさせておきたかったのです」

「皇太子殿下。そもそも私の許嫁は建明(ジェンミン)殿下ですよね?」

「言ったでしょう。玲莉は私から離れられないと」

(だめだ、皇太子殿下の中では、私と婚姻することになっているみたいだ。一途に愛してはくれそうだけど、裏切ったら・・・何されるか。もしかしてとんでもない人に好かれてしまったのかも。明日の翔宇殿下との約束どうしよう・・・。私生きていけるのかな・・・)

玲莉は自分の今後について祈ることしかできなかった。




その日の夜、玲莉はいろいろありすぎて早く床に就いていた。

ぐっすり眠っているといきなり口を塞がれた。

(どうして、ここに?)

男は静かにするよう玲莉に伝え、そのまま玲莉を抱き上げた。

「どこに行くのですか?」

「内緒です」

男は玲莉を抱きかかえたまま姿を消した。

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