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転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
第八章 三人の皇子と魏、楚、曽ー聖女を巡る戦い

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七、曽の軍に立ちはだかる五人の若者

曽の軍は楚の国境付近で、楚の軍の様子をうかっがていた。

(おかしい・・・昨日まで門番をしていた男たちがいなくなっている。これでは簡単に楚へ侵入できてしまう・・・これは罠なのか?)

皇帝熊耀(シオンヤン)は楚への妙な違和感を感じ、なかなか楚へ侵攻する合図を送れないでいた。

「陛下、今が良い時です。楚の国境付近の町の軍はそこまで強くありません。もし罠だとしても、今の私たちの軍であれば敵ではありません」

「・・・」

皇帝熊耀は慎重だった。

勇毅(ヨンイー)、魏の軍はどうなっている」

「はい、陛下。魏の国側に軍がすでに待機しているようです。いつでも戦う準備はできております」

「そうか」

(一か八か・・・)

「いいか、お前たち。聖女王玲莉(ワンリンリー)には傷一つつけるなよ。傷つけたやつはその場で斬り殺す」

「御意」

建明(ジェンミン)、行け!」

建明は先駆けとして、曽と楚の境目の門を突破していった。


「・・・どういうことだ?誰もいない」

建明の後に続いて、曽の軍は次々と楚の国へ突入したものの、鼠一匹さえいなかった。人の気配が全く感じられなかった。

「どういうことだ・・・」

曽の軍が皆楚へ入ると、大人十人でも開閉が難しそうな門の扉が勝手に閉まった。

「一体、何が起きている」

皆がざわつく中、勇毅と逸翰(イーハン)だけが冷静だった。

「陛下、私と逸翰が皇宮まで行き、様子を見てきます」

「・・・わかった。馮一(ファンイー)、二人についていけ」

「御意」

馮一は曽の国の中で武術、剣術に優れている。皇帝熊耀は勇毅と逸翰を完全に信じているわけではなかったので、馮一をつかせ、万が一裏切った時は二人を殺すよう命じていた。

(もしかしたら、俺は一杯食わされてたのか・・・)

曽の軍が閉じた扉を開けようとしていたが、何人、何十人と人数を増やしていっても、微動だにしなかった。

楚に閉じ込められた曽の軍は、勇毅と逸翰の帰りを待つしかなかった。




「陛下、曽の軍が罠に引っかかったようです」

楚の皇帝劉正(リウヂャン)は大いに喜んでいた。皇帝劉正の前には劉翔宇(リウシャンユー)劉若㬢(リウルオシー)、玲莉、辛圓(シンユエン)慮空(ルーコン)それに加え、三人の若者がいた。

そのうちの一人の若者は宦官の報告を聞くと、皇帝劉正に一礼し、走ってどこかに向かって行った。


しばらくすると、同じ若者が戻ってきて、皇帝劉正に報告した。

「陛下、準備は整いました」

「うむ。玲莉、頼む」

「はい、陛下」

玲莉は皇帝劉正の合図で、聖女の姿に変わり、皇宮を中心に結界のような光を放った。




曽の軍は勇毅と逸翰、馮一の報告を待っていたが、いくら待てど帰ってくる気配がなかった。

(遅すぎる・・・)

皇帝熊耀は三人の帰りを待たずして、楚の皇宮に攻め入ろうとした。

しかしその時、曽の軍の目の前に光のような壁ができはじめた。

「何だこれは?」

皇帝熊耀は配下の者を一人、その光の中に投げ込んだ。すると、その者は雷に打たれたように丸焦げになり、その場で倒れた。

「何だこれは・・・」

その様子を見ていた建明は危険を感じ、逃げようとしていたが、軍の者に捕まった。

「建明、相変わらずですね。曽の皇帝を裏切って生きていけると思っているのですか?」

光の壁の中から現れたのは、勇毅、逸翰、それと見慣れない若者が三人いた。三人の若者の中には逸翰と区別ができないほどそっくりな同じ顔の者がいた。

「なぜお前たちがここに・・・逸翰が二人?・・・まさか」

建明は息をするのも忘れてしまうほど驚き、その場で胸を押さえながら、膝から崩れ落ちた。

「これはこれはお久しぶりですね。元許嫁の李建明」

「王・・・王蘭玲(ワンランリン)?お前、生きていたのか!!」

建明は幽霊を見るような目で、蘭玲を見ていた。

「そんなはずはない。あの時、ちゃんと確認した。お前はたしかに息をしていなかった」

「説明するのが面倒だから、簡潔に言うが、あの時死んでいたのは弟の私だ」

「馬鹿な!」

「建明、何の話をしている。こいつらは何者なのだ」

皇帝熊耀は建明と五人の若者で勝手に話をしており、苛ついていた。

建明は皇帝熊耀の言葉が耳に入らなかった。五人を見たまま、固まっていた。

三人の若者のうち一人が前に出てきた。その男は建明も知らない顔だった。

「お前は誰だ?」

「申し訳ございません。建明、実は私たちは知り合いなのですよ。いえ、知り合い以上の関係ですかね」

建明はその男の声に聞き覚えがあった。

「はっ・・・孟景天(マンジンティエン)?」

「さすが、正解です」

そう言うと孟景天は変装していた面をはがした。

「どうしてお前がここに」

「楚の皆には内緒にしていてくださいよ。まだ正体を明かしていないのですから」

微笑んでいる孟景天の笑顔が建明には恐ろしく見えた。

「勇毅、逸翰。馮一はどうした?魏の軍はどうした?」

「そうですね・・・馮一は私の妹によって・・・殺されました」

「馬鹿な・・・馮一が負けた?」

蘭玲はうれしそうに勇毅に笑顔を送った。

「魏の軍?来るわけないですよ」

「そんなはずがない。あの魏の皇帝は何をしているのだ」

「魏の皇帝とは誰の事ですか?」

皇帝熊耀は勇毅の質問の意図がわからなかった。

(この男は何を隠している)

孟景天が鼻で笑いながら、衝撃の一言を言った。

「言っておきますが、今の魏の皇帝は李叡(リールイ)ではありませんよ。現皇帝の名は(ワン)(ハオ)

「王丞相が皇帝だと?」

建明は信じられず取り乱していたが、孟景天の言葉は真実だった。

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