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転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
第八章 三人の皇子と魏、楚、曽ー聖女を巡る戦い

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五、三国三様

(ワン)丞相、例のものはできそうですか?」

「明日にはできるそうですよ」

「さすが元薬草売りの息子ですね。それとあの件はどうですか?」

「それも問題ありません。あの者たち以外は」

「素晴らしい。羅洋(ルオヤン)譚子安(タンズーアン)白庭(バイティン)

三人は孟景天(マンジンティエン)の前で跪き、指示を仰いだ。

「羅洋は妓楼であの者たちを」

「御意」

「譚子安は私が合図を出したら、羅洋に合図を送ってください」

「御意」

「白庭は例の情報を曽と楚へ」

「御意」

三人は一斉に孟景天の目の前から散っていった。

「王丞相、心の準備はよろしいですか?」

王浩(ワンハオ)の心の準備は全くできていなかったが、もう逃げられないゆえ、やるしか選択肢はなかった。

「若様・・・大丈夫です」

「王丞相、大丈夫です。あなたは本来座るべき椅子に座ろうとしているだけですから」

王浩は自分の頬を思い切り叩き、気合を入れた。




「陛下、魏が我が国と組み、楚を攻め、聖女を捕らえることに承諾しました」

建明(ジェンミン)、よくやった。今日はお前にもこの酒を飲ませてやろう」

普段は奴隷のようにこき使う曽の皇帝熊耀(シオンヤン)が、今日は建明に対し、他国の皇子のように丁重に扱っていた。

(馬鹿な李叡(リールイ)め。今の魏はあの皇帝と李義(リーイー)というお飾り皇太子殿下だけだ。操ることなど造作もない。しかし、万が一・・・)

玲莉(リンリー)を奪還する見込みが立ち、建明の心に少し余裕が出てきたが、魏にはまだ行方不明になっている孟景天がいる。もし、建明の知らぬ水面下で動いていたら、今の建明には対抗する術がなかった。

「陛下、こちらの国には魏から誰か遣わされるのですか?」

「そうみたいだ。誰だったか・・・王勇毅(ワンヨンイー)王逸翰(ワンイーハン)だったかな?魏の丞相の息子たちだ。そんなやつらを曽に遣わすということは魏も本気だろう」

(勇毅と逸翰か・・・ということはこの話は嘘ではないな。私がいることを知っていて偽物を遣わすわけないだろう。あと少し・・・あと少しの辛抱だ)

建明は下品な笑い方をする熊耀を横目で見ながら、人形のような作り笑顔で、熊耀の機嫌をとっていた。




慮空(ルーコン)、これは一体どういうことだ!」

楚の皇帝劉正(リウヂャン)は慮空を呼び出し、問い詰めていた。

「陛下・・・安心してください。魏からのこの文は真っ赤な嘘です」

「嘘・・・だと?」

皇帝は玉座に座り、一旦深呼吸をした。

「それでなぜ嘘だとわかる」

「私の占いでは魏が楚を攻める兆しが全く見えません。それに攻めてくるというよりかは・・・それに陛下、この文は・・・(フー)宦官、水をいただけますか?」

胡宦官は皇帝の顔色をうかがい、皇帝が頷いたので、慮空に水を持って行った。

「ありがとうございます。では・・・」

慮空はその文に受け取った水を豪快にかけた。

「なっ!」

皇帝も胡宦官も慮空の行動に驚いたが、慮空が手にしている魏の文に新たな文字が浮かび上がってきた。

「陛下、これが真実です」

文を受け取った皇帝はその内容に驚愕した。

「まさか・・・」




劉翔宇(リウシャンユー)と玲莉は莉花(リーファ)宮の庭で菓子を食べながら、ゆっくりとした時間を過ごしていた。

(どうすれば玲莉を私のものにできるのだろうか・・・)

劉翔宇は菓子を幸せそうに食べる玲莉の顔を見ながら、ずっと同じことを考えていた。

前世ではただ見ることしかできなかった楊秀英(ヤンシューイン)が王玲莉として、許嫁として隣に座っている。

手の届かなかった相手が、今では触れることもでき、何度も唇も重ねている。

玲莉とのひとつひとつの口づけを劉翔宇は鮮明に覚えている。

それ以上の関係にもなりたいが、理性が働き、今はどうにか抑えられている。

しかし、この先ちょっとしたきっかけでタガが外れる可能性もある。

「玲莉・・・」

「どうしたの、翔宇?」

「いや・・・何でもない」

「変な翔宇」

玲莉はここ最近悩んでいた。建明が曽の軍を率いて、聖女である自分を手に入れにくる。それに加え、魏の軍まで楚を攻めれば、一番の被害者は楚の民である。自分の存在が原因で無辜の民を巻き込みたくなかった。

(もし二国が攻めてきたら、私の力でこの国の民を守らなければ・・・景天。もしあなたが私を迎えに来るためにこの民を危険に晒すなら、たとえあなたに敵対してでも、この国を守るわ。私は聖女なのだから)

今まで守られてばかりだった玲莉が、今では聖女として民を守ろうとしていた。

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