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転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
第八章 三人の皇子と魏、楚、曽ー聖女を巡る戦い

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四、見通せない未来

「陛下、妙な男が王玲莉(ワンリンリー)に会わせてくれと門の前で跪いてます。門番が追い返しているようなのですが、その男が石のように重くびくともしないようです」

(王玲莉に会いたいということは聖女絡みか・・・)

いかにも怪しい男に皇帝は玲莉を会わせる気は全くなかった。しかし、なぜかその男のことが気になって仕方がなかった。

「その男の名は?」

慮空(ルーコン)と申しております」

「慮空?本当に慮空という名なのか?」

「はい。本人はそう申しております」

「連れてこい」

「えっ?はい、すぐに連れて参ります」

皇帝に報告した宦官は急いでその男のもとへ向かった。

(慮空か・・・追い返さなくて正解だったな。慮空、朕の方が早かったぞ)

皇帝は満足気な顔をしながら、(フー)宦官に玲莉を連れてくるよう命じた。




「久しぶりだな、慮空」

「お久しぶりです、陛下」

「どうやら私が賭けに勝ったようだな」

「お恥ずかしい限りです」

二人はお互い少し照れながら、微笑みあっていた。

「それで、曽と魏の動向はどうだ?」

「あの小僧が私の忠告を聞いていれば少しは変わったもしれませんが・・・問題ありません。このまま何も起こらなければ、曽の軍も敗北し、魏も楚を攻めることはないでしょう・・・しかし・・・王玲莉は・・・はっきりとは断言できないのですが、皇太子殿下ではない者と・・・それが聖女としての運命なのかもしれません。もし陛下が王玲莉の運命を変えたいと思うのならば、私の力で多少は変えることができるかもしれません」

「・・・あの小僧とは?」

「曽に流れ着いた若者ですよ。名を李建明(リージェンミン)という」

「なるほど・・・」

皇帝は思いつめたような表情で悩んでいた。

「いや、何もするな。玲莉の運命は玲莉が決めることだ。朕が手を出すべきではない」

「さすが、陛下」


「陛下、私をお呼びでしょうか」

慮空は玲莉を見るなり、呼吸するのも忘れるほど、その美しさに見惚れていた。

「あなた様が聖女様・・・」

隣に立つといつもより首を大きく傾けないと見上げることのできない大男に、少しだけ恐怖を感じながら返事をした。

「はい・・・そうです。私が聖女の王玲莉です」

慮空はその場で聖女の未来を占いはじめたが、ため息をつき、残念そうな表情をしていた。

「やはり私の力では聖女様の未来を見通すことはできません」

皇帝は拍手しながら、大声で笑っていた。

「さすが玲莉だな。慮空の占いでもわからないとはな」

「陛下、この方は・・・」

「あぁ、すまない。紹介していなかったな。この大男の名は慮空といって、占いで他の人の未来を見通すことができるのだ。慮空の助言に従えば、その運命も変えることができる。慮空は元々はこの国の出身で朕の友人でもあった。聖女が生まれる年、慮空は聖女の運命を見たいと言ってな。それから、聖女を捜す旅をしていたのだが・・・まさか先に朕が見つけるとはな」

皇帝は自慢げな顔をしていた。

「私は自分の力に自信を持っていました。もしかしたら少し自分のことを驕っていたのかもしれません。聖女様が悲惨な運命を辿るなら、この私が助言してあげようと。私は己の愚かさに気づきました。聖女様という高貴なお方の運命などわたくしごときが変えることなどできないということを」

慮空は自分を卑下しながらもどこか嬉しそうだった。

「それで慮空、これからどうするのだ?」

「私は元々この国の者です。私の命は陛下のもの。陛下のお心のままに」

「そうか。慮空がよその国で助言して、この国を攻撃されても困るからな。部屋を用意してやる。それで、玲莉に危機が迫るときだけ朕に教えてくれ。もちろん、この国のことも見ていてくれ」

「承知いたしました」

慮空は優しい笑顔を玲莉に向けながら、一礼をして、宦官についていった。

(人の未来を見通せる力って・・・聖女よりすごい人なのでは?)

玲莉は慮空の後ろ姿を見送りながら、そのように考えていた。

「あの、陛下。慮空さんはもしかしたら私よりすごいお方なのではないですか?未来が見通せるなんて」

「すごい男には間違いないのだが・・・慮空が未来を見通せるといっても一年先までは見通すことはできない。せいぜい一月先ぐらいだ。あの男は過去も見ることができる。しかし、見える過去はどれも悲しみや憎しみなどその人たちの悲嘆な過去しか見ることができない。あの男は他人の過去を嫌なほど見てきている。それこそ口に出すのも恐ろしい過去も。それゆえ、あの男は誰に対しても慈悲深い。たとえ、この国の敵になろうとしている者でも救いの手を差し伸べようとするのだよ。そういう男なのだよ」

玲莉は自然と涙が出ていた。

「玲莉、慮空はあの能力のせいで家族がいない。そうだな・・・年齢的には父親だろう。慮空のことを父のように接してあげてほしい」

「わかりました。私で良ければ娘になります」

皇帝は穏やかな表情で微笑みながら頷いていた。

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