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転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
第七章 三人の皇子と聖女の秘義

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二十、玲莉の決断

(やっぱり正直に翔宇(シャンユー)に話したほうがいいわよね。早く話さないとここから離れられなくなる)

玲莉(リンリー)は決意したように、劉翔宇(リウシャンユー)のいる東宮へ春静(チュンジン)辛圓(シンユエン)を引き連れて行った。


「殿下、玲莉お嬢様がお会いして話したいことがあるとのことです」

(やっと話してくれるのか)

玲莉は皇宮に戻ってきてからは、いつも思いつめたように外を眺めていた。

劉翔宇が莉花(リーファ)宮を訪ねても、意図的に作ったような表情で玲莉は笑っていた。

思い切って尋ねても、話しをはぐらかされ、心を開いて話してくれることはなかった。


玲莉は黄飛(ホアンフェイ)に案内されると劉翔宇と二人だけにしてほしいと頼んだ。

劉翔宇は快く応じ、他の者は部屋から出て行った。


玲莉は座ると、手を膝の上に置いたまま、微動だにしなかった。

劉翔宇は玲莉が口を開くまで、温かく微笑みながら待ち続けた。


「翔宇・・・婚姻を破棄してほしいの」

「何で・・・?」

想定外の言葉に劉翔宇は動揺していた。

「玲莉・・・婚姻を破棄したいというのなら、納得のいく理由を教えてもらえるか?」

劉翔宇は聖女絡みが理由だということは気づいていたが、劉翔宇は婚約破棄などしたくなかったため、納得のいく答えが欲しかった。

玲莉は険しい顔をしながら、悩んでいた。どこまで話せばいいのかわからなかったからだ。

「結論から言うと、私は聖女として国を守りたいし、聖女の血を絶やしたくないの」

「・・・つまり、孟景天(マンジンティエン)と結ばれることが聖女としてのつとめだということか」

玲莉は黙って頷いた。しかし、劉翔宇は玲莉の様子から他にも何か隠していることを悟っていた。

玲莉が孟景天のことを好きであることは腹が立つがわかっていた。玲莉にとっては喜ぶべき結末だろう。それなのに、玲莉の目には生気を感じなかった。

「玲莉、他に隠していることがあるだろう」

玲莉ははっとした表情をしたが、劉翔宇と目が合うと目を背けるように下を向いた。

「玲莉、私が君を愛していることは知っているだろう。私は孟景天よりずっと長い間、君が楊秀英(ヤンシューイン)の時から見てきた。ようやく玲莉に近づくことができて、許嫁にまでになった。どれほどうれしかったかわかるか?玲莉が聖女である以上玲莉の気持ちを尊重すべきなのもわかっている。だから、婚姻を破棄したいと言われても私は同意するしかない。でも、なぜそんなに悲しい顔をしている。孟景天と婚姻できてうれしくないのか?」

玲莉の感情が高ぶったのか、聖女の姿に変わりはじめていた。

「玲莉・・・?」

「実は・・・」

顔を上げた玲莉は泣き崩れていた。

劉翔宇は何も言わずに、玲莉を抱きしめた。

「翔宇・・・私は景天の・・・景天の命を奪ってまで、聖女としての役割を果たそうとしているの」

玲莉は劉翔宇の胸に顔をうずめ、涙が枯れるまで泣き続けた。


落ち着いた玲莉から劉翔宇はことの詳細を聞き出した。

「そういうことか・・・神も酷いことをするな」

(それにしても俺がこの世界に来たのが孟景天との仲を引き裂くためだったなんて・・・)

劉翔宇はようやく玲莉が悩んでいた理由がわかった。それと同時に、玲莉である秀英に再び巡りあわせてくれたことには感謝しているが、申玲瓏(シェンリンロン)に利用されていたと聞くと腸が煮えくり返りそうだった。

「孟景天が命を失わずに済む方法はないのか」

「今のところはないわ」

「玲莉でも救えないのか?」

「聖女と結ばれた聖女の子孫は必ず死ぬ・・・おそらく私の力をもってでも無理だと思うわ」

劉翔宇は必死に孟景天を救う方法がないのか考えていたが、玲莉が頬杖をつきながら、劉翔宇をじっと見つめていた。

「私の顔をばかり見てどうした?」

「いや、少し意外だったから」

「何が?」

「だって翔宇からしたら景天はライバルでしょう?翔宇としては景天が亡くなればライバルがいなくなるから喜ぶのかなと少し思っていたけど。こんなにも景天のことを心配するなんて。見直したわ」

劉翔宇は少し照れながら、

「当たり前だろう。ライバルでもあるが、友人でもある。それに、景天が玲莉のことを大切にしていることもわかっている。玲莉を守る男は多い方がいい。私一人ではどうにもできないこともあるからな」

とわざとらしく格好つけた顔をしていた。

「ありがとう、翔宇」

玲莉は劉翔宇に話してよかったと心から思った。心にあった靄が晴れていった。

「玲莉と私が子を作っても聖女の血は継げないのか?もしかしたら私も聖女の子孫だったりするかも」

劉翔宇は少し期待を込めて言ったが、玲莉は冷めた目で見ていた。

「それはないわ。聖女の血を受け継ぐのは一人の血筋のみ。例えば、翔宇の母上が聖女だとするでしょう。もし翔宇が聖女の血を受け継いでいたら、長寧(チャンニン)公主、文策(ウェンツゥー)皇子は聖女の血は受け継がないの」

「わかっ・・・ていたよ」

二人はいろいろな策を提案しあったが、どれもこれも解決策にはなりそうにもなかった。


「一旦ここで話は終わろう。私もいろいろ考えてみるよ。それまでは、絶対に婚姻を破棄しないから」

「・・・わかったわ。でも、何も策がなかったら、私は孟景天と婚姻するわよ」

「わたった。孟景天と子供を作らなくていい解決策を考えるよ」

玲莉は劉翔宇の言い方が引っかかったが、そのことに触れることなく、東宮を後にした。


(私は絶対にあきらめない)

劉翔宇は何としてでも自分と玲莉が婚姻できる方法を考えようとしていた。

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