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転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
第七章 三人の皇子と聖女の秘義

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十八、強すぎる故、何もできない力

玲莉(リンリー)劉若㬢(リウルオシー)が皇宮に着くと劉翔宇(リウシャンユー)黄飛(ホアンフェイ)が出迎えてくれた。

「玲莉、よかった、無事に帰ってきて」

しかし、玲莉の様子を見る限り、元気そうには見えなかった。

「翔宇。玲莉、疲れているから部屋で休ませてあげて」

劉若㬢はそう言って、玲莉の手を劉翔宇に渡した。

「どこか具合が悪いのか?」

「・・・大丈夫。疲れただけだから」

玲莉は笑顔を見せていたが、無理やり笑っているようにしか見えなかった。

劉翔宇は劉若㬢に玲莉の状況を説明するよう目で訴えていたが、劉若㬢はそれに気が付いているにも関わらず、目を逸らし、劉若㬢は自分の宮へ戻っていった。

(一体何があったのだ・・・)

劉翔宇はうつむいて何も話さない玲莉に付き添うことしかできなかった。




莉花(リーファ)宮に戻ってきた玲莉に春静(チュンジン)たちは温かく出迎えたが、玲莉の様子がおかしいことに気づき、とりあえず玲莉を寝台に寝かせることにした。




「皇太子殿下、玲莉お嬢様の様子がおかしいです。何かあったのですか?」

春静、秋菊(チウジュ)晩夏(ワンシャー)辛圓(シンユエン)は玲莉の寝殿の外で劉翔宇に理由を問い詰めていた。

「私にもわからないんだ・・・叔母上は何か知っているようだったが、叔母上が知っていて話さないということはきっと玲莉本人の口から以外は聞けない話だ。今は玲莉が落ち着くまでそっとしておくしかない。そもそも聖女に関わることだ。私たちが知ってはいけないことかもしれない。春静、君は一番信頼されているから、君には話すかもしれない。何かわかったら、教えてくれ」

「皇太子殿下、もし玲莉お嬢様が皇太子殿下に話してはならないと言われたら・・・たとえ皇太子殿下であっても話すことができないかもしれません」

春静の玲莉に対する忠義に感心していた。

「春静、君がそうでないと逆に困るよ。その時は話さないでくれ。玲莉を裏切るようなことだけはしないでくれ」

「皇太子殿下、ありがとうございます」

劉翔宇は玲莉を春静たちに任せて、莉花宮を後にした。




玲莉が莉花宮に戻ってきて三日ほど経ったが、相変わらず玲莉は気持ちが塞いでいた。

(私は一体どうすればいいの・・・)

玲莉は申玲瓏(シェンリンロン)とのやり取りを思い出しながら、ふと疑問に思った。

(そういえば・・・聖女が国を守っていたみたいだけど、具体的に何をしていたのかしら・・・私はまだこの国に来て聖女らしいことを一つもしてないのだけど)

「春静、若㬢姐さんのところに行きたいのだけど、ついてきてくれる?」

玲莉は聖女について自分より詳しい劉若㬢を訪ねることにした。




「あら、玲莉もう大丈夫なの?」

劉若㬢は空気を読んで侍女たちに下がるように命じ、玲莉を椅子に座らせた。

「それで、私に聞きたいことって何?」

劉若㬢は茶で手を温めながら、玲莉の話に耳を傾けた。

「私が景天(ジンティエン)と結ばれることでこの国だけでなく大陸全土に平和が保たれること、もし翔宇と結ばれれば、将来全ての国が滅びの一途をたどることも理解できました。私はそれ以外に関しては何も知りません。先代たちも聖女たちは多くの民を救い、国を守ってきました。しかし、今の時代は聖女の存在さえ隠されています。聖女として生まれたからには、この命、聖女としての役目を果たさねばならないと思っています。申玲瓏は私に『何もしなくていい』と言いました。きっと聖女として果たすべきことをあえて私に伝えなかったのだと思います。申玲瓏は・・・聖女の血を絶やそうとしていましたから」

劉若㬢は茶を飲んでいた手が止まった。

「・・・聖女の血を絶やす?」

玲莉は真剣な表情で大きく頷いた。

「そうなのです。申玲瓏は自分が経験した悔しさ、苦痛、悲しみを聖女たちに負わせないために、神に逆らってまで聖女の血を私で終わらせようとしていたのです。実は言うと、私の夢の中に申玲瓏は現れていたのです。そのたびに、申玲瓏は翔宇と一緒になるよう頻りに進めていました。その時は、なぜ翔宇と?ぐらいにしか考えていませんでしたが、ようやくその答えにたどり着きました。それに・・・私はどうやら申玲瓏でもあったようです」

「申玲瓏でもある?どういうこと?」

玲莉は劉若㬢に全てを話そうとしたが、そうなると自分が違う世界から来た者であることを説明しなければならなかった。

(さすがにこの話はできないな・・・)

「えーとですね・・・何といえばいいのでしょうか・・・簡単にいうと申玲瓏の魂が分散されて、半分は私、半分はそのまま申玲瓏としてあの寺院を守っていたと言えばいいのでしょうか」

玲莉はこの説明で劉若㬢が納得してくれるか不安だったが、劉若㬢は険しい顔をしながらも、頷いて理解しているようだった。

「私の翡翠の腕輪に吸収されていた碧水晶は申玲瓏の魂だったようです。あの寺院には紅水晶がありました。今はその二つとも私の体に吸収されています」

「玲莉、体は大丈夫なの?」

劉若㬢は本気で玲莉の身体を心配していたが、玲莉は、何ともありませんと言って、立ち上がりくるくる回っていた。

「目が回るから座りなさい。ということは申玲瓏の魂は一つになったのね。玲莉は申玲瓏としての記憶はないの?」

「全くありません」

玲莉は両手を上げお手上げのポーズをしていた。

「ただ、体に感じる聖力は以前とは比べ物にならないぐらい満ち溢れています。今ならこの国全員が亡くなったとしても助けられそうです」

劉若㬢は玲莉が歴代の聖女の中で一番聖力の強い聖女となったことに、心配と同時にどのようにこの子を守っていけばいいのか悩んでいた。

「玲莉、玲莉が聖女として何かしたいという気持ちはわかるけど、玲莉は聖力が強すぎる。それこそ、申玲瓏の二の舞になってしまう・・・いえ、それ以上よ。あなたが聖女として民を救えば救うほど、あなたを狙うものが多くなる。玲莉ほどの力があれば、そんな者たちも一瞬で倒せるでしょうけど・・・そんなことに力を使うべきではないわ。申玲瓏の言う通りかもしれない。玲莉は何もしないのが一番安全なのかもしれない。そもそも玲莉が存在しているだけで国が安定しているのだから」

(本当に私は何もしなくていいのかしら・・・)

不安な表情をしている玲莉の手を劉若㬢は優しく包み込んだ。

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