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転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
第一章 三人の皇子との出会い

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十一、伝承

李義(リーイー)は再び玲莉(リンリー)の部屋に戻っていた。

相変わらず意識は戻っていないようだった。

後からついてきた建明(ジェンミン)も心配そうに玲莉を見つめていた。

「今日は意識は戻らなそうですね。玲莉のそばにいたいですが、私は後宮に戻らなければなりません。春静(チュンジン)、玲莉の目覚めたら、私に知らせるように(ワン)丞相に伝えてください」

春静は承諾した。

「皇太子殿下、許嫁の私がそばにいますから、安心してください」

建明はうれしいそうな顔をしていた。

「春静、建明を見張っていてください。玲莉に何かしたら、すぐに知らせてください」

春静はどちらの味方をしていいのかわからず、曖昧な返事をしていた。

李義は春静に念押ししながら、立ち去って行った。


「春静、安心しろ。玲莉には何もしないから。ただ、そばにいて目が覚めるのを待ちたい」

建明は寝台の横に座り、玲莉の手を握っていた。

春静はその様子を見て、玲莉の相手はやはり建明の方がふさわしいと考えていた。

(私はずっと玲莉と婚姻することを望んでいたんだ。義に渡すものか。しかし、玲莉の不思議な力については、義に調べてもらったほうが早いだろう。いや、もしかしたら、私には明かしてくれないかもしれない。自分で調べたほうがよさそうだな)

建明は玲莉の目が覚めるまで、そばを離れなかった。




李義は王家で襲撃が起きたこと、玲莉に起きた異変と不思議な力について、皇帝に話した。

皇帝は李義の話を聞き、襲撃については怒りを露わにしていたが、玲莉に関しては、何か思い当たる節があるようだった。

「そんなはずは・・・。まさか、あの話が本当だということなのか」

皇帝は考えながら、聞こえるか聞こえないかの声で呟いていた。

「父上、何か知っているのですか?」

「あぁ、この国には伝承があってな。その話と玲莉に起きた異変が同じなのだよ」

皇帝が知っている伝承はこうである。


『百年に一度 聖女が現れる

 

 その者はあらゆる傷を癒し


 聖女が望むのであれば


 死者をも生き返らせることができる


 その者の瞳は血のように赤く 髪は雪のように白い


 その者は計り知れない力を秘めており


 全てを語りつくすことができない』


李義は皇帝から伝承を聞き、玲莉が聖女であることを確信した。

「父上、玲莉が聖女であることは間違いないようですね。このことは知られてはいけませんね。他の国が知ったら、どんなことをしてでも玲莉を奪いに来るでしょう」

「義、この件は絶対に漏らすな。王家の者には伝えていたほうが良いだろう。しかし、建明には玲莉が聖女であることは伝えるな。建明が玲莉を利用するとは思わないが、念のためだ。それと、王家を襲撃した者たちだが、検討はついているのか?」

「いいえ、まだ何もわかりません。しかし、王家の襲撃も妙でした。明らかに私への殺意がある者たちがいるかと思えば、殺意のない者たちもいました。玲莉の秘密を守るためについ全員殺してしましました。白庭(バイティン)の話では手がかりもないようでした」

「そうか。まぁ、取り逃がすよりかはよかっただろう。刺客については私の配下に調べさせよう。しかし、玲莉が聖女となれば婚姻も慎重にしなければならないな。この件は今はそのままにしておこう。今、動けば変に勘ぐるやつが出てくる。義、婚姻にあんな条件を出しながら、こんなことを言うのもなんだが、玲莉を守ってやれ」

「父上、当然です」

李義の顔は自信に満ち溢れていた。




「刺客は全員殺されました。しかし、聖女が見つかりました。王家の次女、王玲莉です。間違いありません」

「王玲莉?たしか、建明の許嫁だったな。はっはっはっ、天は我らに味方してくれたようだな」

男は不敵な笑みを浮かべていた。

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