勇者の星座と、こころ葉のエーデルワイス
窓辺に開いた
小説の余白にそっと
葵月の風が
物語を描きゆくように
広がる景色の
アップルグリーンの中で
柚子の木に白く
やさしく咲いた花びらは
照らす陽射しに
青柚子の夏衣へと
少しずつ
その実を染めながら
木立のシェードを
抜けたその先に
真っ直ぐに
丘の上に立ち上がる
立葵は茜色の
夕映えに凛として
流れゆく
季節のかけらの
一つひとつ
風の贈り物と
ともに心葉のように
星の勇者が
駆け上がる青い風の空に
夕なずむ
東の彼方の空から
天高くへと
駆け上がる光がつなぐ
勇者の星座は
ヘルクレス座の星々
いくつもの
神話を夜空に紡ぎながら
遥かな宙に
浮かびゆくシルエット
星の心葉が
咲きゆく葵月の空に
雲間からさしこむ
月明かりの中で
夏星たちは
天の原に咲きゆく
ひとひらの
エーデルワイスのように
夏に向かいゆく
景色と瞳に
そっと
寄り添う心葉のように
星座が紡ぐ
物語に想いを馳せながら
心が紡ぐ
いくつもの
描きかけの物語を胸に
時に吹く一陣の
青嵐の日もあるけれど
心に咲く一輪の
エーデルワイスのような
輝きを大切に
それぞれが
こころの宙に
物語を描きながら
一人ひとりが
未知の明日へと
向かう勇者、なのかも知れない
窓辺に開いた
小説の余白にそっと
葵月の風が
物語のその続きを
こころの森の
言の葉にそよぐように
これから描きゆく
物語とともに
エーデルワイスの
こころ葉を、胸にしながら
6月中旬から夜空高く上るヘルクレス座(星座名はラテン語読みで、英語読みは「ヘラクレス」)は、神話の勇者の姿で、多くの物語があります。
エーデルワイス(ドイツ語で「高貴な白」)は、6月頃に高地で白い花が咲き、花言葉は「勇気」です。柚子は初夏に星形の花が咲き、青柚子は夏、黄柚子は秋に収穫され、「幸福」の花言葉があります。
「心葉」は、贈り物をするときに季節の花などを一緒に渡すことです。葵月は6月、立葵は梅雨時に一本の真っ直ぐな茎に沢山の花が咲き、花言葉は「豊かな実り」です。
季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。