2.ラベンダー(9)
「やはりみなさんお疲れのようですね」
ザカリーは笑いながらそう言った。特に両国の王が対面するテーブルはかなり白けていた。
「両国の親善は大事なことですので、私もかなりの時間を準備に費やしました」
「ディアンさんもそうでしたか」
「ええ、私が絵を描いて、ジャバリ様にお渡しするという役目でして」
「それはすごい!陛下は芸術にはうるさい方なので、あなたを任命なさるとは、ボルナト様も分かっていらっしゃる」
「まあ私には荷が重すぎて仕方ないんですけど……」
あれこれ話しているうちに、会はお開きになろうとしていた。
「ザカリーさんは明日出発ですか?」
「そうですね、明日の朝には」
「今晩はありがとうございました。自分はこの晩餐会を楽しめないと思ってたので」
「私もあまり気が乗ってなかったのですが、本当に楽しい時間でした」
ディアンとザカリーは名残惜しそうに別れ、ディアンは自分の部屋に戻った。
翌朝、玄関ホールにはたくさんの人が集まっていた。
「有意義な時間だったよ、ありがとう。ボルナト国王陛下」
「こちらこそ。一つ、土産を渡そう」
玄関ホールにディアンの描いた絵が運び込まれた。渡される瞬間は、もちろんディアンも見ていた。
「これは、ラベンダーだね。素晴らしい。この絵師はかなり腕のある者なんだろうね」
「そうですね」
(最初の感触はいい感じだ……)
「ありがとう。これは私の部屋に飾っておくよ」
「それは嬉しい……楽しんでくれ」
ジャバリは何かまた、付け加えて話した。
「あとは、会談中に話したことは国内でしっかり果たしてくれ」
「ああ、覚えている」
「では、これからの両国の発展を願って……」
ジャバリ国王はそう言ってパウロの城から出た。壮絶な外交はこれにて終了となった。
その後、ディアンは王から呼び出しを受けた。ボルナト王はかなりお疲れのご様子だった。
「見ての通り、ペルカの王にはきちんと受け取ってもらった。素晴らしい絵だとの評価も頂いた。君自身の功績を誇りに思って欲しい。これからもよろしく頼んだ」
「ありがとうございます」
「あとは、素晴らしい花のチョイスだった。ラベンダーの花言葉は知ってるか?」
「ええ、『友情』『期待』です」
「君がそれを知って選んでくれたのなら、本当に喜ばしい限りだ」
「以上でございますか?」
「そうだ。戻っていい」
ディアンは扉を開けて自室に戻って行った。壮絶な外交の一幕に関わることが出来たことを、ディアンは誇らしく思っていた。
扉が閉まってから、王のそばに仕える執事が言った。
「さて、ジャバリ王のご要望を果たしましょうか」
「ああ、そうだな。国の未来を変えるかもしれない人がいるんだろうな」
ラベンダー編完結です




