2.ラベンダー(5)
「金賞、ラッセル・ガートナー」
会場から拍手が起こり、ラッセルも驚いた様子だった。
「びっくりだね、今回は獲れないと思ってたから」
ラッセルはメダルをもらっていたが、ディアンの名前はなかなか呼ばれなかった。結局銅賞まで呼ばれることはなく、最後に佳作が発表された。
「佳作、ディアン・ストローサー」
ディアンは納得がいかず、放課後にフィルラウスに問い合わせた。
「先生、どうして僕の作品は、メダルに値しなかったんですか」
「いや、今回は非常に選考に悩んだんだ。正直、良い作品が多すぎて、選びきれなかったんだよ」
「では、何が足りなかったんですか」
「明確には言えない。先生の投票だからね」
フィルラウスがはぐらかしたこと、自分の作品がなかなか評価を得られないこと、色々とイライラしていた。そのことで頭がいっぱいになり、次の作品でもなかなか筆が進まなかった。そんな時、ラッセルが言った。
「落ち着いてよ、ディアン。君の作品がメダルにならなくても、君自身が描いたものに価値がつかないわけがないよ。君らしく描いた作品が1番綺麗なんだ」
ディアンはラッセルの一言で心が救われたような気がしたが、フィルラウスへの不信感は強まっていった。
♢♢♢♢
残念なことに、雨が続いてしまい、ディアンの制作は中断となった。だが、彼の周りではペルカの王を迎え入れるための準備が着々と進んでおり、ディアンも少し申し訳ない気分でいた。
「ストローサー君。久しぶりだね。どうだい制作は?」
マルクは音楽隊を率いて、王との会談での晩餐会での演奏や、歓迎の音楽などに向けて練習を毎日行なっている。
「雨続きで、なかなか進んでいません。もうすぐ完成なんですけど」
「それは大変だ。だが君の父親はそういう期限に間に合わせるとかの経験をする前に辞めているから、今の忙しさを誇りに思って良いぞ」
(また父親ディスりが始まった……)
「ですが、焦りは禁物ですので。落ち着いてやっていきます。マルクさんも頑張ってください」
「ああ、健闘を祈るよ」
父親のことをよく知っているということから、マルクは長いことこの城にいるんだろうとディアンは思った。
城を歩いていると、どこも忙しそうで、雨だから仕事がないというディアンは何となく恥ずかしい思いを抱き始めていた。
(アトリエで作品の整理でもするか)
思い立ってディアンはアトリエに戻り、片付けを始めた。すると、ドアが開いた。
「ディアン様」
「どうかしましたか」
「いえ、少し暇を持て余していて、何かお手伝いできることはありませんか?」
ディアンはアーネが同じような思いをしていることに少し安心した。
「一緒に片付けをしてください」
「喜んで」




