過去の話1
ドサッ!
隣でまた1匹、空腹か寒さか理由は分からないが同胞が倒れる。あと自分含めて2匹、自分と父親しかいない。寒い、けれど走り続けるしかない。生き残るためには。
「バゥフ!」
「!」
父が吠えた瞬間目の前には絶望が広がっていた。クマがいたのだ。逃げないと。そうして俺は背を向けて走り出した。父親が爪に引き裂かれる断末魔を聞きながら全速力で駆け出した。1度も振り返らずに。
あれからどれくらいの時間走っただろう。もう空腹感と疲労感に襲われ倒れる寸前だった。
「!」
倒れた時後ろを向いたそこには父親を殺したクマがいた。そこからの記憶は無いただひとつ覚えていることは、ドンッ!という大きな音だけだった。
数日後
目を覚ました時俺は違和感を覚えた。
「なんだ、、これ?てっ!」
毛がない。それどころか体の周りに布が巻かれていた。
「?」
違和感はまだぬぐえない。そして気づいた。発している言語が違う。そして、、足跡が聞こえた。
「おう、お前良かったな。買い手が見つかったぞ。」
「お前は誰だ」
「はぁ。どうでもいいだろう。お前はここからもういなくなるのだから。」
そして、、、
「おい。おい夜明!早く起きろ!今日はみんなで旅行に行く日だろ!」
「ん。あれ?ご主人今日は早いですね。」
「お前が遅いんだよ!とにかく急げ!」
そこで気がついた。今のは夢、いや悪夢だったのだと。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「なんでもない。とりあえず急ぐか。」
ああわかっている。俺は白美を買った理由、そして親父の残してくれた夜明という命。もう誰も失わない。奪わせないと改めて誓った。
どうもコンソメまんじゅうです。過去の話はそれぞれのキャラの過去を書いた短い話です。1とあるように何回か出す予定なのでお願いします。