いったい、どういうこと?
女神は、「そりゃあ、私に、もっと嬉しそうに神をやってほしいって言ってもらえて、キュンとしたというか…」
「うーん。なんか、私は、それだけじゃ分かんないな。いったい、どういうこと?」
女神は急に、顔がカーッと赤くなった。本来なら、神は、そんな反応しなくてもいいのだ。ただ、人間の頃の感覚を思い出して、それを再現してしまっている。だとすると、女神は、前から泣いたりしていたので、人間の感覚を強くもった神と言っていいだろう。
「そのね。ソナが、そう言ってくれた時、人間だった頃の心臓を思い出して、そこにキスをされた感覚になったの…。ソナは、そういうつもりなかったんだろうけど。そういう感覚が、強く出た。
この娘ならね、ちょっと不自由な気分がある神の生活を優しく包みこんで、連れ出してくれるんじゃないかと思ったの」
「連れ出す?」
「心を自由にするというか。一緒に、新しい世界を見つけてくれるんじゃないかと…」と、女神。
「うーんと…。チアーの心を掴む力が強くて、好ましくて。私だったら、チアーが見たい世界を知ってる、ってことでいいのかな」
「そうそう。いいとこ、突いてる。さすが、ソナ」
ソナは、女神にそう言われて、少し癒されていた。
〈そうか…。改めて思うけど、私、チアーに何かしてもらうってことを、されてもいいんだな。することばっかり、考えていたけど。私、チアーからもらうもの、もらってたな、ずっと〉と、ソナは思った。
続く
もらうことが、苦しくなることだって、あったりはするけど。もらっていることを、忘れてはいけないよね。