そんなもんじゃないじゃない
ソナは、竜のソットに乗ろうとして、心が揺れた。「ねぇ、ハツミ。私ね、竜騎士のことは、ハツミの想いがあるから、きちんと助ける。
だけど、本当は、竜騎士も裏魔王もそんなに、好きじゃないんだよ、本当は。ハツミのことが、とても大事なだけで。
私って、最低限だよね。そりゃ、精霊の力があるから、その場で役には立つと思う。でも、好きじゃないから大したことないよ。そういう自分に、私はガッカリするんだけどね」
「ワラワのためか…」ハツミは、感情が読み取れない感じで言った。
「うん。
ハツミがいなかったら、分からないけど、ほっとくって選択だってしちゃうかも」
女神は軽い感じで、「うーーん。人間て、そんなもんじゃない、きっと」
「女神様!!」ハツミは、睨んで言った。
「はっ、はい…」
「ちょっと黙っててもらって良いですかの?」
「あっ、すみません」女神は、謝った。
「ソナは、竜騎士のことを、知らないといかんのぅ」と、ハツミ。
「ああっ、そうかも。私は、竜騎士の最低なとこ、邪悪なとこしか、知らなかった。少し前、竜騎士の不運な部分を知って、かろうじて同情はしていたけど。やっぱ、嫌いかも」
「ソナ。それでも、いい。ただ、シュウは、神のミスによって、ああいう人間になってしまったのじゃ。
そして、ソナ。お主も、魔界で、泣く程、苦労したんじゃろ。不運なのは、きっと神のミスじゃ。
だから、自分の心を手当てするつもりで、シュウに優しくしてやってくれぬか…」
「ハツミ…」ソナは、そう言って、泣きそうになりながら胸の辺りで両手を組み合わせた。
続く
ハツミも、自分の心を手当てするつもりで、竜騎士に関わっているんだろうね。