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コンビニ

作者: 阿呆論

 友人のTさんが体験した話をしよう。

 Tさんは学生時代、夏休みの間だけコンビニでアルバイトをしていた。駅から結構離れていて、住宅街の片隅にぽつんとある、あまり客の来ないコンビニだった。

 その日も客は少なく、いつものようにぼうっとレジに立っていたTさんは、ふと、弁当売り場の前に一人の男が立っているのに気づいた。背格好で初老らしいと分かるが、顔は見えない。店内に他の客はいなかった。

 いつの間に来ていたのだろう。いらっしゃいませ、と言わなかったことを少し反省して、しばらくTさんは仕事熱心なフリをしてレジに立ち続けた。

 するとどれくらい時間が経ったのだろう。またしてもTさんは、自分がぼうっとしていたことにハッと気づいた。店の外を見ると陽が沈みかけている。

 そして弁当売り場の方に目を向けると、あの男がまだ同じ場所に突っ立っているのが見えた。さっき見た時はまだ昼間だったはずだ。もう四時間以上も同じ場所にいることになる。奇妙に思ったTさんは、男に声をかけようと思って、やめた。もしかしたら気分でも悪いのか、あるいは外が暑いから店内で涼んでいるのかと、いろいろなことを考えたが、自分がぼうっとしている間に一度どこかへ行って戻ってきただけかもしれないと思ったのだ。

 Tさんは急に尿意を催し、我慢しようと思ったが一瞬だけなら大丈夫だろう、とトイレへ駆け込んだ。男がレジに来るかもしれないと急いでトイレから出ると、男はいなくなっていた。

 バイト終わりに、もしかしたらあの男は万引きだったのではないかという考えがよぎり、Tさんは監視カメラの映像を確認することにした。

 すると、弁当売り場の前を映したカメラにあの男の姿は無かった。どんなに映像を遡っても男は映っていない。

 そんなはずはないとTさんは全てのカメラの映像を隈無く捜した。そしてTさんはやっと男の姿を見つけることができた。

 午前十時から午後五時までの間、ぼうっとレジに立っているTさんの真後ろに、張り付くように立っている男の姿が、映像に映っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 怖あああああ もしかしたらまだ後ろについているんじゃ、、、
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