イキテシヌモノヘノウタ
生きるモノよ お前は何をつかんでいる
生きるモノよ お前は何を打ち捨てている
生きるモノよ お前は何をいつくしむ
生きるモノよ お前は何をふみつける
お前が手にするその石は 人が欲する純粋性
人の世になき永遠の純度を 人は己に刻み愛でる
自身の心を埋めんがために 空虚な生に明かりをともすために
そして今日も はりぼての王が生まれる
生きるモノよ お前は本当に気づいていないのか
美酒が見せし幻影と 抱えた石の重みで
お前の両足が主を あるべき場所に導くのを
饗宴のとなりには 深淵なる谷が横たわり
いにしえの王たちが 孤独と後悔とひと匙の安堵をもって 新参者のお前を迎え入れるのを
生きるモノよ お前は本当に隠し続けるのか
お前の体にまとわりつく 腐った他者のにおいが消えないことを
どれほどホラを吹き続けても 森の奥まで届きはしないことを
ならば笑い歌ってそうして黙り 道化の言葉に耳を貸せ
生きるモノよ お前は何を恐れている
生きるモノよ お前は何に追われている
生きるモノよ お前は何を裏切っている
生きるモノよ お前は何に対価を払っている