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LV9 起床

よく寝た。すっきりしている。久しぶりに寝たっていう充実感が得られた。


ベッドの上で窓越しに漏れる日の光を受けて俺は目覚めた。いつもは寝方が悪いのか首のあたりから肩にかけてコリがひどく、起きてやれやれと手で肩あたりを二度三度もみほぐしながらベッドから身体を起こすのが常なのだが。


今は違う。ベッドに仰向けで目がさめたこの瞬間からはっきり違いが判る。


脳の中心。身体の芯。全ての細胞がライフ全快を主張し、こうしてベッドにいる事すら後悔させる具合に身体の方から快調を訴えてくる。何ならこのまま飛び起きて奇声を上げようか?そのくらいのことは余裕でやってのける自信がある。


この身体快調現象は記憶を失った後に良くなる奴だ。この国に来てからおよそ10回目なので、ああ、またやったか。と言った塩梅である。失った記憶とトレードオフになるので重要な記憶でなければいいが……


さぁて、失った記憶を出来るだけサルベージしてみよう。俺はベッドでさっきから仰向けで天井のボードの無数にある穴を見ながら思いを巡らせるのだが……


ちょっと待て、何で俺はここにいる?


そうだな、俺の記憶が正しければ、と何が正しいかさえわからない俺が妙な枕詞を着けながらたどり着いた一番手前と思われる記憶。


昨日、昨晩、深夜0時過ぎ、俺は発光する初音さんに雷撃を喰らって……


そうだ、これだ。その後が問題だな。


そう、その後、どうなった?


これだ。全く記憶が無い。ここまで、記憶が無いから、心身ともに気持ちが良くなったのだろう


そして、冒頭どうやってここまで来た。こことはホテルの自分の部屋だ。窓の造りカーテンの色。ダブルベッドが二台の部屋、足元に椅子と文机。このレイアウトまごう事無き俺の部屋。ここ半年くらいお世話になっている俺の部屋。


少なくとも残りは500mくらいまだあったはず。


これは間違っていないと思われるのだが、雷撃を喰らったあと誰かに拾われて、この部屋のベッドに寝かされた。これが、推測されるメインシナリオだろう。


ちょっと待て。二回目だが。


今、椅子の上に服があったぞ……先ほど寝ながら部屋を見渡した俺の映像の回想シーンに俺の物ではなさそうな異物を見つけた。


俺は服の乗る椅子まで、這うようにして近づき手を伸ばしてみた。


……そうか、俺、女装趣味あったんだ。


椅子の上には女物の服。スカートとなんだこりゃ。青い何かだ。その上には緑の上下おそろいブラパン。65Dって書いてある。レースがついててかわいい!


言ってる場合か?誰だ?

ブラのサイズからして初音さんではないだろう。


背中を振り返る。ベッドのもう一つ。俺の寝ていた別の方……


布団がめくれている。

普段であれば、この部屋の住人は俺だけなので俺が寝ていない方は何の変化も無いはずなのだが俺は記憶を失いベッドを転々としたのか?


こう言った場面では例の年末にやる47人の名シーンを再現しなくては。


シーツを触る。


む!温かい!近くにおられるぞ!!


言ってもベッド二つがあるだけの部屋だ。

変わっているところは椅子の上に女物の服と下着一式。

寝てないと思われるベッドが寝た跡があり、しかも人肌を感じる温かさがある。


何処かに隠れる様なスペースは無いし……


見えるところに居なければ、ドアによって見通せなくなっている水回りの部屋が怪しい。


怖いんですけど。普通に……


俺は足音を立てない様に細心の注意をはらいホテルによくある毛足のほぼない薄手のカーペットを進み、シャワー、風呂、トイレ、洗面所の一緒になっている水回りに繋がるドアに手をかけた。


俺の勘が正しければおそらくここにいる。誰だか知らんが。


そっとドアノブを回し、一気にドアを蹴破らない。危ないからね。そっと開けた。


……え~と。報告します。

全裸の女が身体をバスタオルで拭いていました。

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