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召喚されたらリアルダンジョンだった! 自称女神との日常異国ライフ   作者: 樹本 茂
第三章 やり残したこと

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LV60 1/2(土)-1

カメ、カメ、カメ?


初音さん、比喩しすぎだ。うまいこと言ってやった的なノリはやめていただきたい。こっちは結構、追い詰められているんだ。


今はAM9時、明日は初音さんとの合流だ。それまでに、カメの謎を解いて降りなければならない。それに色々と試して見たいことがあって……部屋にて、カメの詳細を描いているところだ。


とりあえず、考えても出なさそうなので、どうするか……一階のフロントに行って昨日、紛らわしいな1/3の夜に仕掛けた網の魚を見に行って、ついでに朝ご飯だ。


フロントは20m×10m程度、天井からシャンデリアが二つ下がっていて、正面のドアにはいつ来るかわからない客を延々と待っているドアガールがここの民族衣装を着て多い時には二人たっている。そこを通り、2時の方向一番奥にフロントがあって9時方向にはレストラン。正面にガラス張りのレンタル会議室、3時方向には大人紳士向けの施設がある。いつも俺はフロントとレンタル会議室の間にある廊下を通り奥の客室へと向かうのだ。


今日の朝もアピンがいた。


「“早上好(おはようございます)”」


笑顔で、俺に挨拶してくる。現地語で。


今にして思えばもっと早く異変に気付いたのにそれを理解できていなかったんだ。理解しなければ、ただの事象だ。ただの気まぐれ程度に俺は考えていたから。


「おはよう」


アピンは俺を見ると大抵、誰に教わったか知らない日本語で何か、かましてくる。特に好きなフレーズはスケベXXだ。


「………………」


どうした?無反応だが。近くのメモ帳を出して漢字で何やら書いてきた。


“何か御ご用ですか?”


そう、お前に用事があるんだ。俺は昨日と言っても1/3の夜、初音さんの手紙を俺に手渡してくれた神様の使いのお前に一つ仕掛けをしたんだ。


「昨日(俺の1/3)の夜、モーニングコールを8:30にお願いしたんだけどどうなった? かかってこなかったんだけど」


俺はアピンに聞いた。

アピンは少し慌てたように事務伝票か何かを探して俺の言ったことの裏付けを取っている。


そう、そうだよ、アピン。そんなものそこには無いんだ。だって俺が頼んだのは1/3の夜なのだから、俺が頼んだアピンは1/3のアピンで、今日、1/2の朝にそんな伝票が存在しているはずもないし、1/2の君でもないんだよ。


「ごめんなさい。アピン。俺の勘違いだった。ごめんなさい」


俺の比較実験1の結果は出た。


俺は謝罪をしアピンのホッとした顔を確かめて、レストランに行き、いつものようにオーダーをする。しかし、やはり、丁寧に注文を聞いてくるいつものレストラン娘。


……やっぱりか……

俺の比較実験2も明確な答えを示し、俺の仮説を証明した……


ずっと抱いていた違和感の正体もこの比較実験2で理由がわかった。


俺は、片面だけでは信用ならないこの国の卵をあえて両面焼いてもらってそれを食しながら、この違和感について思いを巡らす。


そう、違和感は距離感だ。この国は知り合いになればなるほど距離を締めてくる。物理的にも心理的にも。忽然と消えた妹のあの距離感も初音さんの特別な人っていうところがスタートラインだから、はなっから、慣れていく部分を省略したと思っている。まぁ、あの妹達は少しおかしいか。


話を戻すと距離感だ。ここに半年以上いて毎日顔を突き合わせて、暇なら(いつも暇だが)、しゃべって時々一緒に近所にご飯を食べたりしていた、俺シスターズ。その筆頭の馴れ馴れしさを発揮しているアピンの距離感。


これって俺が時間を戻っている事に関係している。そもそも、時間を戻るって、この超常現象が俺がいる事で周囲に与える影響を考えたことは無かったが……昨日の手紙にあったよな。俺の明日は俺がいない。


という事は、今日の俺の周りは俺と初対面なんだ。


初対面の者と会話をしていると仮定すれば、今までの、俺シスターズの態度が納得できる。

残りは1日弱、重要な事はカメの捜索、そして、そこから”降りる”ことだ。


比較実験2結果:ここでは毎日が初対面。


さて、これから比較実験1だ。


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