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召喚されたらリアルダンジョンだった! 自称女神との日常異国ライフ   作者: 樹本 茂
第三章 やり残したこと

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LV49 1/3(日)-1

 切れ長クールビューティー、スレンダーで、店の制服そのままのミニスカ黒服、初音さんと同じ細身タイトスカート……美麗さんが着ると印象が違うな。巨乳効果か……だいぶスリムに見えた。


「どうしました? こんな場所で、一人で?」


美麗さんは、挨拶しながら近づいて俺の隣に座ると、うっすらとほほえんで、俺に話かけて会話を継いでくる。


「ここ、好きなんです。運河が流れて遠くに街の明かりが見えて、手前の高層ビルが都会を嫌でも意識させて、でも、道路が少し離れているから、うるさすぎなくて、おまけに橋がライトアップされていて」


遠くの景色を見ながら話す美麗さんの横顔を俺は見ていた。


「……おかしいですね。初対面の人にこんな話……でもないか……あなた、どっかで会った事ありません? って、ナンパじゃないですよ。ホントにそう思っただけ。おかしいね。ハハハハハ」


そうなんだ。俺は、あなたに会っている一昨日。


「おかしいついでなんだけど、あなた好きな人いる?」


遠く緑と青のLEDで装飾された橋を見ていた美麗さんが俺の顔を覗き込んでいた。


「え?」


「あぁ……いるのね。そう」


そういうと、


「ねぇ? その好きな人が突然いなくなったら、あなたならどうする?」


美麗さんは、俺の目を見て、少し口角を上げて微笑みを崩さず俺の表情を……見ている……違うな……観察……そう、クールな鋭い視線は俺の表情全てを捉えようと目を見開いて表情のすべてから俺の心の内側を知るために観察しているのだ。


俺は残念ながら、彼女の思惑通りであろう驚愕の表情を見せていた。間違いなく。知らない女が、全く知らない訳でもない、でも、名前と働き先くらいしか知らない女が、俺の置かれている状況を質問してきやがった。これを驚かずして、何を驚けというのか。


「変な話よね? じゃぁ、私だったらって話ね……」


俺の観察を続ける彼女が一拍おいて、話始めた。


「私だったら、もう探さない。だって、ここではそんな事は普通だもの。普通にある事だから。私の想いと相手の想いが違っていたのね……だから、それは相手にとっては、わざわざサヨナラを告げるほどの相手では無かっただけなのよ。そんな風に私は理解する。何処で違ってしまったのかしらね? それが分かるのならば、できれば、出来るなら過去に戻ってやり直したい。その時の自分に教えてあげたい。そう思うの。それで、教えてあげるの。昔の自分に。その人は大切な人よ。ちゃんと想いを伝えるのよ。ってね。それでも、またダメだったら……」


「ダメだったら?」


「言うのよ、その時の自分に……やり直せるわ。また、過去に戻ってやり直しなさい。気のすむまで何回でも……って耳元で囁くの……」


美麗さんの声のトーンが下がって、元々のクールな目元で俺を見透かしたように見つめている。俺は息をのんで身動きが取れなくなっていた。


俺の表情を覗き込んで“観察”していた美麗さんは、口角をわかりやすく上げてクールな目元を細くして、


「ねえ? あなた、過去に戻りたいってこと無い? 戻りたいこと? あるでしょう? どう? 出来るって、私なら出来るって言ったら、どうする?」


俺の目を見て、相変わらずの観察眼を微動だにせず、微笑をたたえ……少し違う、獲物だ、獲物を狙う動物のような目、その目を、その顔をしながら反応を待っている。


「そんな事言い出したら、生まれた時からやり直さなくちゃ………………ならない」


話しながら、まずい気がした。彼女のシナリオ通りになっている気がした。表情が緩んでいる。さっきから見ると幾分、ほんの少しだけ、気のせいかもしれない、俺にそんなスキルは無い、でも、それは、やはり、彼女の口角は喜びを現し、視線は俺に期待と……同意を求めている。


「悪い、俺は過去には興味がない。むしろ見えない未来に思いを馳せて、起きている間はそれでいっぱいなんだ。せっかくのお誘いだけど、済まないね。恐らく、今後も興味は無いと思うよ」


俺は、正面から不要だと言い切っておいた。この国では、曖昧は命取りだ。


そして、俺の悪い癖、正解を選ばない癖もここでは封印せざる得なかった。これは明らかに不正解だから、回り道しても正解にたどり着けない、そう、直感が俺に差し示した。


俺を見ていた、観察していた美麗さんは、俺を誘っていた表情をさっさと切り替え、


「うふふ、ごめんなさいね、私、最近、そんな思いをしたから、こんな話してしまって、あなた、話しやすくて、つい変な話をしたみたい。付き合ってもらってありがとう」


椅子から立ち上がって、数歩、歩いて、俺に向き直り、


「私は街の中心にある日本食レストランで働いてるの。今度、食べに来て、アイスくらいサービスしますよ。遅くなりましたが、私、美麗と申します」


そう言って、今までのやり取りを全くなかったかのように、彼女は俺に手を振ると街灯の無い暗闇の中へと消えていった。


そして………俺の耳には、街の喧騒が、さすがにこの深夜に爆音の音楽や人の声は聞こえてこないが、少し離れた橋を渡る車のエンジン音と、ときおり聞こえるクラクションが蘇ってきていた。


月~金 17時過ぎ更新です。

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