LV6 女神仕事終わる
俺の今日のお題は達成できなくなってしまった。せめて、顔だけでも……
俺はさっきのおしゃれカフェに戻りコーヒーを注文して、メッセージを送った。
客は、ゆるふわちゃんが泣きながらハンバーグを頬張っていたころに比べれば、はるかに少ない。まぁ、それもそうか。そろそろ23時になろうかと言うところなのだから。
窓から見える景色は煌びやかなLEDに装飾された街並みだ。そこを間断なく車が行きかう。しばらくそれを見ていると眠気と供に意識は遠くなっていくのだが……
胸元で振動を感じた。メッセージの返信が来たようだ。
『ピックアップポイントで待機せよ。迎えの女神を直ぐに送る。現地到着予定2300』
という事らしい。
23:00時間通り、女神が店に入ってきた。ミニスカサンタそのままで。
ミニスカサンタは入り口付近でキョロキョロしながら一番奥のBOX席にいる俺を見つけると大きく両手を振りながら満面の笑みで近づいてきた。そんな笑顔出来るんかい初音さん。
ていうより、その、ぱつぱつサンタ衣装、手を上にあげたことでパンツ、パンツ、黒いパンツが下から出てるぞ!お前、陸上女子選手か!
「待った?」
息を切らせて裾をズリズリしながら初音さんの降臨だ。
「初音さん、何でその恰好?」
俺がいくら何でも。と、言う感じで聞いてみた。周囲の客も異分子を見る目でチラ見している。
いや、どうせなら、がん見してくれ!心が痛い。
「え? これで部屋から店に行ったからね、今日は。だから、これで帰るのよ。悪い?」
さも当たり前の様に返答を返してくる。
この辺りはさすがの度胸だ。
「初音さん、さっきは途中でごめんね。本当は今晩、初音さんにクリスマスプレゼントを買うのにそこのモールに来たんだよ。そこを初音さんに、店の前で見つかって買えなかったんだ。おまけにさっきのあれで店は閉まっちゃったしね。それで、どうしても今日中に会って話したくて来ちゃったんだ。遅い時間にごめんね」
前半は本当、後半は嘘八百。嘘が露見するのを防ぐために後半は巨乳に話ししていた。
「別に構わないわよ。その気持ちがあるのなら……」
なんか普通に顔を赤くして俯いている。
さっきから、初音さんの罵倒に切れが無い。いや、別にそれをご褒美とする性癖は無いのだが、ちょっと気になったまでだ。
初音さんも賄いを食べてきたとの事で注文したミルクティーを飲み干すのを待って店を出て、
「初音さん、遅いから部屋まで送っていくよ」
と言う俺に
「……うん」
なんか、どうした?眠いのか?いつものギラついた殺気が感じられない。
そして、何を思ったか腕を絡めてきた。
「嬉しい……わざわざありがとう」
ちょっと待て、心が痛むから、良心の呵責に押しつぶされそうだぞ、そんな目で見ないでくれ。
え?俺の思っている初音さんと実は中身は違うのか?時々、みせる初音さんのこういうところ一体どっちがホントの初音さんなの?
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