LV28 炎撃
刹那---
背面で照明弾があがったのか?強烈な閃光を背中に感じて振り向くとそれは巨大な光の玉で既に頭上高々とあがっていた。
「おにい! 私に抱き着いて!」
近くの花火大会の一つぐらいに考えていたのだが、梨花ちゃんの怒声で我に返った。
そして、梨花ちゃんが嬉しい事を言うので遠慮なく抱き着くと、
俺が抱き着くのを待っていたかのように、
猛烈な熱風が俺たちを襲った。梨花ちゃんの庇護下にある俺は梨花ちゃんから生じるドーム状の青銀色の半透明の防御バリアで守られて周囲の被害とは隔世の感はあるのだが、既に、周囲の金属で出来た変圧器BOXが変色し箱の形を成さなくなり、いびつに歪んで蓋などは変形に耐えられなくなり勝手に開いてきている。そして、中身の樹脂製の電気部品は解けて跡かたなくなっていた。周囲に目を移すと、アスファルトが水あめの様に流動的になって、ところどころから小規模な炎が立ち上っている。
俺は、梨花ちゃんのウエスト付近に抱き着き、胸に右頬を押し付けて膝立ちになり、出るところは出ている華奢な体を堪能して満足していたところ、
「おにい、もう大丈夫よ」
と、離れろと指示されたので、しぶしぶ身体を動かし周りを見ると、周囲半径10mぐらいに渡ってビルの構造物やガラスが高温にさらされ熱で変形しているか、黒く変色している。梨花ちゃんと近くにいた胡桃ちゃんの周りだけは何事もなったかのように半径5mくらいの円形にアスファルトが残っていた。
あぁ、初音さんの雷撃の時の加護って奴と同じだ……
「ちょっと、ふざけんじゃないわよ」
梨花ちゃんが怒気を含んで口にした。
「梨花ちゃん、こ、これは一体?」
”おい、マジかよ”と悩んだがこっちを選んで言ってみた。
「炎撃……私たち一族の者がやったのよ……胡桃ちゃん、どこから撃ったかわかる?」
梨花ちゃんが厳しい表情を浮かべ胡桃ちゃんに指示を出す。胡桃ちゃんも国宝を収め、
「しばし、待たれよ」
スマホを取り出して何やら始めた。
「おにい、ごめんなさい。これは、私たちの一族の誰かが撃ったものなの。巻き込んでごめんなさい」
非常識な梨花ちゃんがわずかに持っている常識を見せて、素直に謝って来るものだから、かえってこちらが驚いた。
梨花ちゃんの表情が虚空を睨み軽口を言える状況ではないのが見て取れるのでしばらく黙っている事にする。
「梨花ちゃん!このブロックの中央。ここから直線で200m先のビルの屋上!」
報告を受け取った梨花ちゃんは口元を薄く広げ右の口角を上げてにやりと笑うと、
「胡桃ちゃん! 反撃だよ!!」
胡桃ちゃんの指し示す方角に向かって一睨みしていた。
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