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召喚されたらリアルダンジョンだった! 自称女神との日常異国ライフ   作者: 樹本 茂
第一章 女神

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LV0 初音さん1 木曜夜~金曜朝

「ここのおかゆは美味しいのね」


今、俺は女と一緒に朝食を食べている。俺の泊っているホテルのレストランで。


俺は毎朝このレストランで朝食を摂っている。何処の国に行こうともこの食習慣を変えるつもりは全くない。朝食を食べずにここの奴らとがっぷり四つに組み合うことなど到底出来るわけがない。だから、ここの朝食がどんな物であれ俺は食べるのだ。


ここのホテルはセットメニュースタイルで朝食を提供しているのだが、メニューもそれほど多い訳ではない。そもそも、このスタイル自体が“試行”とメニューに明記されている時点でホテルの覚悟が伺い知れる。


しかも、2か月も3か月もここで食べ続ければいい加減にメニューにも飽きてくるのは自明の理であり、また、オーダーを取りに来る従業員の方も、こいつはこれを今日も頼むだろうと言う予測で仕込んでくる。最近は卵焼きの焼き方を聞かれることも無くなった。と言うかいつものあれだよな。と言った聞き方である。まあ、期待を裏切る事は無いのだが。


目の前の女はメニューの一つ一つを精査し自分好みにアレンジしながらオーダーしていた。食事がトレイに乗せられ提供された後、おかゆを啜り言ったのが冒頭のセリフだ。おかゆが有ったのか?何やらオーダーを取りに来た娘とひと悶着起こしていたが、こいつならメニューに無いものすらオーダーしそうだ。そもそも、こいつの分は何処に請求が行くのかぜひ聞いてみたい。


目の前の女は俺の嫁だ。


いや、正確な表現をすれば全くの無関係だ。それも違うか。正確な表現をしなくても嫁では無いし今後もその予定は無い……と思う。しかし、嫁と言う事に昨夜なった。しかも4日間限定で。このホテル上での身分を表すための仮の記号だ。繰り返しになるが、法的な根拠は全くないし、本当の嫁にするつもりも無い。今のところ……


昨日の事だ。


「女、スケベ」


帰宅時の挨拶がそれだ。こいつは俺シスターズの一人、アピン。歳は二十歳前後だったと思うが、このアピンの中で俺は既に客ではない。どう考えてもホテルのフロントのおねぇさんの客に対する第一声ではないはずだ。もはやどういう風にカテゴライズされているのか真剣に話し合う時期に来ているように感じる。


俺シスターズとはこの現地語でしかコミュニケーションが取れない状態を打破すべく、日本と日本語の習得に興味のあるホテルの従業員をおいおい日本語でコミュニケーションできるようにしている私的洗脳プログラムだ。決して妹のクローンを1万人作ってレベル6にするわけでは無い。


 ホテルに滞在してはや3か月くらいになるが、部屋数20の小さなホテルで、ほぼ俺以外の客を見たことがない。間違いなく客より働いている従業員の方が多い状態だ。そんなわけだから、客のいないフロントなどは仕事があるはずも無く。21時も過ぎればただ、突っ立っているだけなのだ。そこに俺は毎晩ちょっと一杯ひっかけて帰ってきてはこいつらの餌食になっているのである。


今晩は、いたずらっぽく笑うアピンの攻撃を無視し、その横を通り、吹き抜けの20段程度の階段を軽快に2階へと進んだ。ここを右に折れ、廊下左側の2番目の部屋がこの2か月だか、3か月だかずっと慣れ親しんだ自分の部屋だ。


部屋はカードキーを差し込んでLedが緑へと変われば解錠になった証である。それを待ってドアノブを開けて最初に見た光景を理解できずに一旦部屋を出てドアを閉めた。


不思議なものだ。俺は許容範囲を超えたことが起こると、まず、自分を疑うらしい。これでは真の国際人にはなれないような気がしているのだが、良くも悪くも日本人根性が頭から足の先まで染みついてしまっていてこの体たらくだ。


カギは違う部屋では開かないはずだ。


これは国が違えど万国共通の暗黙の決め事だと思うのだが、わからない、ここではそれもわからない。ありえないとは断言できない緩さがあるから。


まず部屋の番号と部屋の位置とさっきアピンが渡してくれたカードキーの番号。全て確認しても、どれもおかしくは無い。なのに、部屋の中には……


ドアが中から開いた。


「何しているの。入ったら?」


ドアを開けて中から初音さんが手招きしている。裸にバスタオルを巻いた状態で……

毎日17時過ぎ更新です。

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