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月日はあっという間に流れ、王宮主催の夜会当日になった。

殿下よりドレスが2着届けられた。


パープルのドレスには

「今まで世話になった。今日、みんなにマリアが王太子妃に相応しいと認めてさせてみせる。最後までよろしく頼む」

と言うメッセージが。


淡いブルーのドレスには

「今日、やっと君を手に入れられる」

と一言だけ。


私と初めて会った日からマリア様は惜しまぬ努力をした。殿下の横に立っても恥ずかしくはないだろう。

愛する人の為に、ここまで頑張れるマリア様を素直に応援したいと思って私も頑張ってこれた。

今日で終わりだ。ウルフ様を目にする事も、今日で終わる。明日からは王宮へ行かなければ良いのだから。


※※※


王宮の夜会は、煌びやかだ。

よくここまで着飾れるものだと思うご令嬢もたくさんいる。

でも今日は、アーサー殿下と私の婚約発表がされると思っている方が大多数だ。みんな私に生温かい視線を送ってくる。


いよいよ、陛下の合図と共に夜会がスタートする。


まずはアーサー殿下が私の元へ来て

「お相手願えますか?」

と手を差し伸べる。

「はい、喜んで」

と手を取り、中央へ進む。


曲が始まり踊り始めると、あまりの美しさに皆の視線が集まる。

1曲終わり私は殿下から離れた。婚約者は必ず2曲は続けて踊る暗黙の了解がある。なのに私は離れたのだ。そして代わりに殿下が手を取ったのは、マリアだった。殿下は甘い視線を向けている。私に向けていた演技の視線ではない、本当に愛おしい人を見る目線を。

マリアもまた優しい微笑みを浮かべ、誰が見ても相思相愛の2人に見える。


そしてマリアはエミリアと変わらないぐらい、美しいステップで皆の目を釘付けにした。


それを見ていた者は口々に

「あの美しいご令嬢は誰だ?」

「婚約者はエミリア様ではないのか?」

と言っている。

私は、本当に終わったのだと会場を後にした。


※※※


エミリアが殿下と踊っている。

なんと美しい2人なのか。

殿下が仰った言葉の意味はいまだに分からないが、このお2人がこれからのこの国を支えてくださるなら間違いはないと思った。


ただ自分がアーサー殿下付きの近衛騎士である限り、エミリアに会う事はあるだろう。

自分の気持ちだけを隠せば、いつかは忘れる日がくるだろうと言い聞かせていた時、殿下が違う女性と踊り始めた。

婚約者は2曲は続けて踊るものではないのか。

訳がわからないとエミリアを探すと、優しい眼差しを2人に向け、そっと会場を出て行った。


その時、後ろから声が掛かる。

「ウルフ、兄上からの伝言。よく分からないんだけどさ、兄上がエミリアとダンスが終わったら、ウルフの今日の任務は終わりだって。この後は好きにして良いよって。でも報告だけは忘れないように!だってさ」


と、ヒラヒラ手を振って第二王子が去って行った。


私はもちろんエミリアの後を追う


※※※


私は庭園に来ていた。

ここで近衛騎士の制服を着たウルフ様を見たんだわ。

吹っ切れると思っていたのに、あの姿を見てしまってからますます忘れられなくなってしまった。それほどに素敵だったのだから。

でも今日はウルフ様を見ていない。今日の姿は絶対に見てはいけない。だって夜会の近衛騎士の制服は、いつも以上にゴージャスで素敵なんだから!

なぜか涙が流れる瞼を擦ろうとした時、

「擦ったら腫れる」

とハンカチが差し出された。


目を上げるとそこには冷たい目で見下ろすウルフ様がいた。


「殿下が他の女性と踊るのが辛いのか?なぜこのような事になったのか分からないが、エミリアの方が素敵だと思うぞ」


私はパニックだ。えっ、どう言う事?なぜウルフ様がここにいるの?もしかして追いかけて来てくれたの?

ブワ〜と涙が溢れて止まらなくなってしまった。


しばくして落ち着いた頃合いを見計らいウルフ様が

「殿下の婚約者ではないのか?」

と聞いて来た。

私はポツポツと話し始めた。話して良いものか迷いはあったものの、先程の2人のダンスを見る限り、陛下もお認めになるだろうと言う確信があった。


「殿下の婚約者が決まったと言う事は、私がエミリアに求婚しても良いのだろうか?

エミリア、初めて会った時から好きだった。

ただ殿下の婚約者になるかもしれない女性に手を出す事は、許されないと思っていた。

もしエミリアがいやでなければ、私と結婚して欲しい」


ウルフ様の突然の告白に答える間も無く、また私は溢れんばかりの涙を流したのだった。


※※※


私が見たウルフ様と一緒にいた女性は、いつまで経っても婚約者を作らない息子を見かねたお母様が、無理矢理デートさせたのだとか。


殿下がウルフ様に「意地悪だと思ってくれ」と仰ったのは、どうやら殿下は私を好きだったようで。でも私がウルフ様しか見てないのを知り、諦めようと思っていたらしい。そんな時にマリア様に出会い、私への気持ちは勘違いだったのかも?と思ったりして、ちょっと意地悪したんだって。


ちゃんと言葉で伝え合わなければ誤解が生まれて、こじれてしまうことが分かり、これからはちゃんと話をしていこうと思います。



これにて完結です。


初めて書いた小説!

まだまだだなぁと反省する点が多々ありました。

読んでいただいた方々、ありがとうございました。

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