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EP00-2


 もう一度目覚められたら……なんて感慨深く言ったのに次の機会はあっさりと訪れて自分の意識は覚醒した。



 あれからどの程度の時間が経過したのかは分からない。

 しかし一度目と違って二度目の意識の覚醒。それは自分と自分の状況を把握するには十分すぎるほどに明確な意識の覚醒だった。



「ここは何かの実験室。そして俺は培養カプセルの中で培養されている……実験動物かな」



 視線を横へと向ければ無機質な部屋。その部屋にはいくつも並んでいる、明らかに特殊な装置で繋がれているガラスケースのカプセル。その中の一つに閉じ込められている自分。動きを制限されるカプセルの中では周りを見渡すのが精いっぱいで、自分の体を完全に把握出来るほどの余裕が無かったが、多くの時間を掛けて分かったことは二つ。



 一つは、自分の体が12~4歳前後の少女の体をしている事。

 そして、体は女性なのに意識が『俺』という男の意識だという事だ。



 培養カプセルに入れられている少女としての記憶は欠片も存在していない。にも拘らず、名前も覚えていない『俺』という人物がここに在ることが理解できる。

 自分自身のことはまるで覚えていない。自分の名前や年齢、それら一切が思い出せない。にもかかわらず『俺』という意識があるということは、恐らくは元の自分――『俺』が死んだであろう事実。自らの最後すら思い出せない。なのに『俺』という存在が生きていた世界やそこにあった技術や娯楽、そういった雑事的な知識は思い出せる。だからこそ、培養カプセルとか実験体などということも理解できた。



(矛盾……ではあるけれど、何もわからないよりはいいのか? ただ、理解出来るからこそ生まれてくる恐怖もある。さて、これからどう転がっていくのやら……)



 自分では何も出来ない環境を理解し、諦めの心と共に再び意識を閉ざす。今の自分に出来ることは、すやすやと寝ることか思考するぐらいしかないのだから。



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