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東京特区  作者: かだゆう
4/4

前夜

8月7日 23時


明日の空浜区への出発を控え、光は荷物の最終準備をしていた。

ベッドや机などの大きな家具は持ち込めないので家に置いて行くことになる。

携帯やPCも空浜区内では現実世界とネットワークや電波が通じないので、

持っていく必要はない。


持っていくのは、着替え、歯ブラシ、筆記用具などの生活用品だけだ。

かばん2つで十分収容できる。


「よし終わりー」

荷物の詰め込みを終えた光はベッドに突っ伏した。


「お風呂も入ったし後は寝るだけだ」

睡眠モードに入りウトウトしかけたその時、携帯電話の着信音が鳴った。


プルルルルル


「んー?」

せっかく寝かけてたのに・・・。

睡眠を邪魔された光は少々怪訝そうな表情で携帯電話を手に取った。


夏目京介(なつめ きょうすけ


「おっ、きょうちゃんか」

光は応答ボタンを押して電話に出た。


「もしもし」

「光~!久しぶり」

「京ちゃん。久しぶり!今日は帰って来てるのか?」

「そうなんだよ。光、お前明日こっちに来るんだよな?」


夏目京介は光の高校の元クラスメイトで、友達である。

彼の一家も第2期空浜区入居に当選し、一足早く7月初めから空浜区で生活している。

彼は光たち皆月一家が明日入居なのを知っていたので、今日現実世界に帰ってきて連絡をくれたのだ。


「そうだよ。明日9時に出発」

「そうか。じゃあ明日こっちに来たら久しぶりに一緒に会わない?」

「いいね!どこで待ち合わせしようか?」

「空浜区に入ったらまず(ゲート)で登録手続きがあるから、そこに俺も行くよ」


どうやら迎えに来てくれるらしい。


「でも、ゲート)って沢山の人が登録手続きとかで居るんだろ。見つけるの大変じゃない?」

「その点は大丈夫。光、お前マスターカードはもう貰ったよな?出してみて」

「あぁ」

光は支度したかばんの中から財布を取り出し、中から自分のマスターカードを抜き取った。


「出したよ」

「裏面に『本人ID』って無い?」

光がカードを裏返すと、左下のほうに『本人ID』の項目があり、アルファベットと

数字の組み合わせが並んでいた。


「あったあった」

「じゃあそのID読み上げてくれる?」

「rsk34hgnk989ix2h」

「復唱するわ。『rsk34hgnk989ix2h』ね?」

「合ってる」

「じゃあそのIDに明日俺から連絡する」


空浜区ではIDを使って連絡すると聞いたことがある。


「分かった、じゃあ(ゲート)で連絡待ってる」

「オッケー、また明日!」


そう言って京介の方から電話を切った。


改めてマスターカードを見ると、徐々に胸の期待が膨らんでいくのを感じた。

ふと、時計を見ると23時35分


「やばい。そろそろ寝ないと」

そうつぶやいて、光は眠りについた。

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