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東京特区  作者: かだゆう
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黎明

西暦20XX年、政府は仮想空間・仮想物質を作る技術を確立したと発表。その技術を応用して、東京都の24区目となる仮想空間特別区「空浜区」を12年の歳月を掛けて構築した。

空浜区への入居者募集が開始されたのはそれから半年後のことで定員5万人に対し、なんと全国から240万3256名から応募が殺到。大きな話題となった。


厳正なる抽選の結果、5万名の記念すべき第1期入居者が決定し、人類は仮想空間ライフをスタートさせることとなったのである。

「世界で初めて仮想空間に住み始めた人々」ということで、第1期入居者は世界中から注目され、メディアから脚光を浴びることとなった。しかし現時点では政府が空浜区内での映像録画を禁止しているため、メディアは現実世界に戻ってきた彼らの言葉を報道するしか無かった。


彼らが一様に口にする言葉は「街がきれい」「移動が楽」「新鮮」「楽しい」「創ろうと思えば物が創れる」など、断片的なものだったが、ネガティブな意見はほぼ皆無なため「仮想空間都市は成功した」そんなイメージを世間はテレビを通して受け止めた。


空浜区について政府が公式発表していることは以下の項目である。


●仮想空間の特別区「空浜区」は政府が誇る最先端技術を用いて構築された仮想都市で、ルールを守る限り安全性は保障する。もし技術の欠陥によりケガ・死亡する者が出た場合、政府は本人または遺族に相応の賠償金を支払う。


●空浜区内に連続して居られる時間は245時間、つまり10日と5時間である。それを過ぎると身体を構築する粒子を一定に保てなくなりすぐに消失してしまう。なので、そうなる前に必ず一度現実世界へ帰還することを全ての者に義務付ける。これを守らなかった場合保障は対象外である。

※一度現実世界に出れば時間はリセットされる。


●空浜区内は主に人々が暮らす第1層の居住層、企業や様々な商業施設がある第2層の都市層、仮想空間に関する研究が行われる第3層の研究層、空浜区を形成する全ての仮想空間を運用する第4層の運用層という、4階層から構成されている。

全ての階層は楕円形で第1層と第2層は縦15km、横8km。第3層と第4層は縦3km、横2kmの大きさである。気温は一律20℃で、風も発生させているが、雨や雷はない。

階層の空は巨大なドーム状のスクリーンになっており、東京都の空がリアルタイムに投影される。


●空浜区内へのあらゆる武器、麻薬の持ち込みを禁止とする。


●現実世界と空浜区との行き来は、東京都内に600箇所、空浜区内に1200箇所設置された「(ポート)」によって行う。(ポート)は公衆電話ボックス4つ分くらいの広さで区切られた機械で、特殊なプラズマ電波を使って使用者や荷物などポート内の全ての物を空浜区内に転送(トランスポート)する。(ポート)を利用するには居住者が持つマスターカード、来客用のゲストカード、区のスタッフが持つスタッフカード、研究・運用関係者が持つシークレットカードのいずれかが必要であり、これらをポート内部のモニターに読み込ませることで使用が出来る。行き先の(ポート)や座標を入力すればその地点への転送(トランスポート)が可能となる。何も入力しなければ(ゲート)と呼ばれる広場に転送(トランスポート)される。

※現実世界に設置されている(ポート)入港(インポート)と呼ばれ、屋根が青色である。逆に空浜区内に設置されている(ポート)出港(アウトポート)と呼ばれ、屋根が赤色である。


※ゲストカードは第2期入居者が入居完了し次第、順次発行を開始する。

※あらゆる者は初めて空浜区内に立ち入る場合、必ず(ゲート)転送トランスポートされる。これはデータベースに本人の情報を登録する手続きが必要だからである。


●空浜区内に転送トランスポートされると自動的に左手首に黒い腕時計が生成される。この時計には自分があとどれくらい空浜区内に居れるかを示す残り時間が表示される。

また、時計の横のボタンを押すと様々な情報が確認できるウィンドウが起動される。

残り時間が24時間を切ると15分毎に現実世界への帰還を促すアラームが作動するようになり、12時間を切るとウィンドウが強制起動し区のスタッフがテレビ通話にて帰還を強く促す。


ウィンドウ)では自分のID、時刻、残り時間の確認やインターネットの閲覧、他人との通話やテレビ通話、階層内でのテレポートが可能である。


※階層内のテレポートは座標やエリアを選択できるが、移動可能な地点は道路や公園、野原、山などのオフィシャルエリアだけである。一度テレポートした場所は履歴が残るし、お気に入りとして保存することもできる。




●空浜区は3月1日より第2期入居者5万人の募集を開始する。


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