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迦具土と手力男命

モドキ「ところではんなりさん、前述した山本熊太郎『江津の歴史』で『これに対して石見では「狭姫と巨人」「迦具土(かぐと)」などの代表的伝説がある』と書いてあるんだ。狭姫と巨人は前に述べた通りだけど、迦具土がどういう伝説なのかよく分からないんだ」

はんなり「これじゃない? 『那賀郡誌』に迦具土(かぐつち)の伝説が載っているじゃない」

モドキ「あ、そうか。見落としていた」

はんなり「拾い読みするからよ」

モドキ「確かにこれは迦具土の異伝っぽいな」

はんなり「迦具土は火の神で、火の神を産んだイザナミ命は(ほと)を焼いて亡くなってしまうのよね」

モドキ「『那賀郡誌』に載っている話は確かに違うな。姫彦族が土蜘蛛を抑えて日本を支配した。姫彦族は煮炊きした食べ物を土蜘蛛に与えたけれども、火の起こし方は決して教えなかった。ところがあるとき、イザナミ命の寵愛を受けた迦具土という土蜘蛛が火の起こし方の秘密を聞きだすことに成功した」

はんなり「火打ち石を使うんのね」

モドキ「迦具土は火を放って姫彦族に反抗の狼煙を挙げた。イザナギ命は苦労して土蜘蛛の反乱を抑え込んだ。迦具土の首を斬り、ついには秘密を洩らしたイザナミ命を離縁した……という話だ」

はんなり「これは江津の伝説なの?」

モドキ「江津の地名が出てくるからそうかもしれない。この伝説が山本熊太郎の言う迦具土の伝説かどうかは確信が持てないけれど、他に見当たらないのも事実なんだよね」



モドキ「ところで『石見に頒布せる石神について』にこんな伝説が収録されている」

はんなり「どんなお話?」

モドキ「益田の染羽(そめば)は岩だらけの土地だった。その岩だらけの土地を開墾しようとするが中々うまくいかない。そこで人々は手力男命に祈ったところ、それからは作業がはかどって、無事開墾することができた。人々は染羽天石勝(あめのいわかつ)神社を建立して手力男命を祀った……という話」

はんなり「天手力男命って天の岩戸神話に出てくる神様よね」

モドキ「そう。岩戸の外の様子が騒がしいので、こっそり開けてよく見ようとした天照大神の手を掴んで引きずり出した神さまだね」

はんなり「益田市に伝説が残っているのね」

モドキ「ところで、神社にやって来たけど、やけに大きな建物があるな」

はんない「神楽殿ってあるわね」

モドキ「神楽殿にしては大き過ぎるんだよな。中に百人以上は入りそうだし」

はんなり「元々は神宮寺の建物かもね」

モドキ「神社の脇に巨岩がある」

はんなり「元は巨石信仰の神社なのね」

モドキ「ここに滝があったけど、今は水が枯れたらしい」

はんなり「残念ね」


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