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某年某月某日・N県にて
油女様を顕現させる儀式は、相成った。
そして……遥か彼方の天空にて、その姿を現す、油女様。
全身から何某かを迸させる、巨大で、丸くて。
赤き、紅き、その御姿。
それは、まるで、太陽。
……これが、油女様なのか。
嗚呼、いつだか見た、おとぎの絵本に載っていた絵に、それは似ていた。
……いや、そうではない。
あの絵本に載っていた妖怪こそが、油女様、だったのだ。
「油女様。
それは。
『空亡』……」
次の瞬間。
私の地面は。
……消えた。